途切れないように ページ27
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『…まこっちゃん、自分のこと責めてるよね。』
壱「あー、今頃樹の胸でわんわん泣いてるかもしれんな。」
『後でちゃんと、謝んなきゃ…っ。』
壱「それはそれで、あいつのことやし今度は嬉し泣きするやろうな。」
気持ちが少し落ち着いて、壱馬やいっちゃん、まこっちゃんがどんな思いでいたのか、ようやくちゃんと考えることが出来た。
でも、そっか。北ちゃん、彼女いるんだ。さっき学校で話してた時、彼女欲しいとかあんまり考えたことないって言ってたけど、きっとそれはもう既にいるからだったんだね。
『あーあ。告白もしてないのに、…振られちゃった、』
壱「…まだ、振られてはないやろ。」
『振られたも同然だよ、彼女いるんじゃもうどうしようもないし。』
壱「そうでもないと思うけど。」
『もういいよ、そんな庇ってくれなくても大丈夫だから。』
壱「ほんまに、そうでもないと思う。…さっき、なんで俺達が慎の家いたかまだ話してへんかったやろ?」
『私になんて言おう、とかじゃないの?』
壱「ちゃうねん。慎、今日合コン行ったやろ?そこに、おったんやって。北人の彼女。」
『…え、?』
北ちゃんの彼女が、まこっちゃんの行った合コンに?
ちょっと待って、北ちゃんと付き合ってる人がなんで合コンなんかに。
壱「北人の彼女、隣のクラスの安西ってやつで、慎のこと知ってて、話し掛けてきたんやって。」
『意味、分かんない…』
壱「しかも、彼氏おったことないとか、言うてたらしいし。」
『っ、ひどい、何それ!そんなの北ちゃんが知ったら…』
壱「な、ありえへんやろ。ほんま神経疑うわ。」
もし北ちゃんがその安西さんって人を本当に好きで信じていたら、そんなことをされても想い続けてしまうと思う。北ちゃんは誰よりも真っ直ぐだから。
どうして大好きな人と恋人同士になれたのに、そんな所に行ってしまうだろう。そんなことどれだけ考えたって、私には到底理解出来なかった。
無条件に北ちゃんと歩けて、デートが出来て、好きって言ってもらえて。自分だけを見てくれて、自分だけを愛してくれて。
それなのに、なんて贅沢な人なんだと考えた時、ふと思い出した。左手にまだ残ってる、北ちゃんの手の温もりを。
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作者名:noa | 作成日時:2021年2月22日 17時