８４話 ページ34
・
病室のベッドに横たわるAの寝顔を見つめていたら、つぅっとその目尻から涙が流れたのを見て、指でそれをそっと拭った。
『ソク…ジン…？』
眠そうに目を開いたA。
ぼーっとしつつも少しずつさっきまでの出来事を思い出したようで、全てが終わったことに心から安堵したようだった。
本当に。
無茶するなぁ。
Aってこんな風だっけ？
こんなにも強い子だっけ？
誰かを好きになることで、人ってこんなにも強くなるんだね。
そんなにも…自分が身代わりになってでも、お前はジョングクを守りたいと思ったんだね。
最後の迷いを経つために、Aにあることを問いかけた。
「もし。
もしさ、大好きな人が、いずれ自分の元からいなくなってしまう運命だと知っていたら…、
Aならどうする？」
『…、』
もし、それでもAがジョングクを選ぶなら…
俺は…。
・
「ユンギ！！
…ユンギ！！」
YG「うるせえな、なんだよ。」
勢いよく部屋の扉を開くと、居候中の白猫はベッドの下に蹲っていた。
「もう、この世界でやることは残ってない。」
YG「…ほう」
「だから未来に帰して欲しい。
…未来に帰るにはどうしたらいい？」
YG「…」
興奮気味に問いかける俺を、疑り深い目で見てくる白猫。
YG「元の世界に帰るには、
俺がお前たち2人から預かったものを自分たちで取り戻す必要がある。」
「つまり、Aは記憶を取り戻し、俺は…、
でも無理だった。何度も言いたくなったけど言えなかった。」
YG「それはお前次第だ。
問題はAの方だよ。辛かった思い出を故意的に封印してる部分もあるからな。」
「…そう。
うん。でも、きっとAは大丈夫。」
あの子は、
俺が思ってたよりもずっとずっと強い子だって、知ることが出来たから。
「それでね、ユンギ。
一つお願いがあるんだ。」
YG「あ？」
「どうしても叶えて欲しいお願い。」
2人の幸せを守るために、どうしても必要なこと。
それから数日後。
ユンギと一緒にあの図書室で待っていると、血相を変えたAが部屋に飛び込んできた。
まずは、ひっくい声で喋る白猫を見て驚いていたけど。そりゃそうだよね。
そして、少しずつ本当のことを話した。
彼女が忘れてしまっていた、俺達のこと全てを。
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しのん。 - とっても面白かったです。こういうお話が書けるの本当に尊敬しまふ！お二人の作品はとても好きなので、お二人のコラボ作品と知って読んだら、明日朝早くからお仕事なのに、最後まで読み切ってしまいました！本当に面白かったです！また新作楽しみにしてます！ (2022年8月10日 4時) (
レス) @page49 id: 5420faf554 (このIDを非表示/違反報告)
KB - ミロさんとまゆう。さん、どっちも最高です!!! (2021年9月20日 23時) (レス) id: 5f0961fe40 (このIDを非表示/違反報告)
coral(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました、ほんとに感動しました。是非またお二人のコラボ作品を出して頂きたいです！ (2021年9月7日 20時) (レス) id: 76a1fad787 (このIDを非表示/違反報告)
わたし。(プロフ) - 映画化してほしい。なってもおかしくない！ (2021年4月5日 17時) (レス) id: 373e34b3f9 (このIDを非表示/違反報告)
chi-(プロフ) - 涙目で霞みながら最後まで読みました。素晴らしかったです。ユンギもユンギっぽくてニヤけてしまった。グクのことを思うと辛いけどほんとに良いお話で読んで良かったです。ありがとうございました。 (2020年11月28日 19時) (レス) id: c1d012338f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：君色。
x他1人 | 作成日時：2020年8月13日 22時
