７１話 ページ21
『そう。』
JK「…ヌナ、体調が悪いんですか？なんか、さっきから変。」
『まだ、寝ぼけているのかな。』
頭がうまく働いてくれない。
私、どんな夢を見ていたっけ。何の夢だっけ？
でも、とても胸が苦しくなって切なくなって悲しくなるけど…大切な夢だったと思う。
突然、辺りが騒然とする。
JK「ヌナっ」
いつもとは違う、緊迫したグクの声に、我に返る。
そこには、私に銀色の鋭利なものを向けた、あの女…イ・ジヨンが立っていた。
あの夏と同じ、怖いほどに妖艶な笑みを浮かべ、彼女は私に向けて走り出した。
逃げなくちゃ…。
そこで思い出す。
私はいつかの未来でこの映像を見た。
私を庇ったグクが死んでしまう。
あんな悲しい出来事を絶対に繰り返してはダメ。
私を守ろうとするグクを思いきり突き飛ばす。
私を見て大きく開かれた丸い瞳に、私は微笑みかける。
私、やっとグクを救える。
私は、こうやってグクを救うために、白猫をソクジンと一緒に探しに行ったんだ。
女はもう、すぐそこだった。
目をギュッと閉じる。
怖い…けど、これが私の望んだ未来。
冷や汗がタラリと流れた。
グク、私は夏なんて大嫌いだよ。
「A。」
突然、フワッと甘いぬくもりに包まれる。
覚悟していた痛みも衝撃も来ない。
『っ…なんで、』
目を開けて驚く。
だって、酷く顔を歪めたソクジンが私を抱きしめていたのだから。
JN「間に合った。」
安心したように笑い、ソクジンは私にもたれるかかるようにして崩れ落ちる。
私もソクジンを支えきれず、その場にしゃがみ込んだ。
視界の端には男の人たちに地面に押さえつけられたジヨン先生が映る。
彼女の持つナイフは、赤く染められていた。
『ソクジンっ…』
彼の体を見ると、赤く生ぬるい液体がじわじわと辺りを染めていく。
私の知っている未来は、私を庇ったグクが刺されて死んだ。
だから私は、グクを守ろうとした。
それなのに、そんな私を庇って、ソクジンが刺された。
私、こんな未来、知らない。
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しのん。 - とっても面白かったです。こういうお話が書けるの本当に尊敬しまふ！お二人の作品はとても好きなので、お二人のコラボ作品と知って読んだら、明日朝早くからお仕事なのに、最後まで読み切ってしまいました！本当に面白かったです！また新作楽しみにしてます！ (2022年8月10日 4時) (
レス) @page49 id: 5420faf554 (このIDを非表示/違反報告)
KB - ミロさんとまゆう。さん、どっちも最高です!!! (2021年9月20日 23時) (レス) id: 5f0961fe40 (このIDを非表示/違反報告)
coral(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました、ほんとに感動しました。是非またお二人のコラボ作品を出して頂きたいです！ (2021年9月7日 20時) (レス) id: 76a1fad787 (このIDを非表示/違反報告)
わたし。(プロフ) - 映画化してほしい。なってもおかしくない！ (2021年4月5日 17時) (レス) id: 373e34b3f9 (このIDを非表示/違反報告)
chi-(プロフ) - 涙目で霞みながら最後まで読みました。素晴らしかったです。ユンギもユンギっぽくてニヤけてしまった。グクのことを思うと辛いけどほんとに良いお話で読んで良かったです。ありがとうございました。 (2020年11月28日 19時) (レス) id: c1d012338f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：君色。
x他1人 | 作成日時：2020年8月13日 22時
