片思い7 ページ7
『…二人とも、もう買っちゃうよ?』
深呼吸をしてから彼らに声をかける。すると、悟は慌ててカゴを持ち、一葉は「A…!」とこちらに駆け寄ってくる。
そしてコソコソしながら聞いてきた。
「さっきの、見てた…?」
『…見てないよ』
「そっか…!」
私が見ていないと言うと、彼女は心底安心したような顔を見せる。…こんな顔されたらもう、見てました、なんて言えないよね。
『任務、大丈夫だった?』
「うん。なんかいっぱいいて疲れたけどなんとか」
『そう。…よかった』
この“よかった”の言葉の裏側を、彼らは知らなくていい。
そう思いながら、私は彼女に手を引かれるままレジへと向かった。
「A、どうしたんだい?」
『え』
あの後、アイスの品揃えが豊富コンビニに行っていた傑と硝子と合流し、教室でアイスを食べていると、傑にそう聞かれた。
『どうして?』
「いや、なんとなく」
『…何にもないよ、別に』
そう言いながら、私はまたも目の前で繰り広げられる喧嘩を見る。
「お前俺のアイス食べやがったな!」
「昨日の仕返しですぅー!」
「…元気だね、二人は」
『うん、そうだね』
私と同様に彼らを眺める傑は呆れ顔をしてそう呟く。
元気なのは同感だ。
「A、ソフトクリーム食べてみるかい?」
『え、なんで??』
なぜか急にそんなことを言われた。私は「要らないよ」と言うも、傑は胡散臭い笑みを浮かべ、ズイと口元に持ってきた。ソフトクリームは太陽に当てられて溶け始めている。
…仕方ないな。
そう思いつつ、傑の誘惑に負けて私はソフトクリームを頬張る。するとバニラの甘みが溢れんばかりに広がった。
『おいひい』
「そうだろう?」
傑の笑みを受けて、私もつられて笑みを浮かべる。
なんか少し、心が軽くなった…気がする。
『…傑、ありがとう』
「そんなにソフトクリームが美味しかったかい?」
『…ん、あー…そうだね』
そう話していると、急に横から身体を射抜くような鋭い視線を感じた。私は反射的にそちらを見るが、そこには未だに喧嘩をする悟と一葉だけ。硝子は外にタバコを吸いに行ったようだ。
…気のせいかな。
そうだろう。そうじゃなきゃおかしいもの。
変だなと思いつつ、私は視線を戻した。
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AО777 - しろりんさん» 数字の振り間違いご指摘ありがとうございました。助かりました…! (1月16日 22時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - AО777さん» 20話が抜けてます。 (1月15日 17時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
AО777 - 琥珀さん» コメントありがとうございます!オチについてですが、現在未定といったところです。思い悩んでいるところですね。はっきりお答えできず申し訳ありません。そして、応援していただけているとのこと、とっても嬉しいです!励みになります…! (12月26日 10時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - コメント失礼します!答えにくい物でしたら濁して頂いて構いません🙇️質問なのですが、オチは五条さん、夏油さんどちらのご予定ですか…?作者様の書く世界観が大好きなので、どちらでもちゃんと追って読みます☺️これからも応援しています! (12月26日 8時) (レス) @page19 id: 2c6daaf2a5 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - LuNaさん» うおぉぉ…そう言っていただけて死にそうです…(泣)性癖に刺さっていただけるとは…。コメントありがとうございます! (12月7日 5時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AO777 | 作成日時:2023年11月25日 21時