片思い5 ページ5
「お前さ、報告書びっちり書いてんだろ?」
『うん。一応書いてる』
「んじゃ、俺の書いてくれよ」
『…そしたらすぐに私が書いてるってバレると思うけど?それに面倒くさいからって押し付けようとしないで』
そう言えば、彼はチッと舌打ちして前を向く。私もそれに習って前を向いた。
沈黙が落ちる。
この静寂はとても気まずい。
手汗が滲み、足取りは早くなる。バクバクといつもの二倍の速度で鼓動する心臓はいつになくうるさい。
いつもなら大丈夫なのに、二人きりってなるとなんだかなぁ…
そう思いつつ見上げると、そこには桜がある。コンビニのある並木道には桜が植えられていて、今の時期は花開いていて満開だ。
その時、ヒュウと風が吹いて桃色が風に散る。
儚い
実らないであろうこの恋も、いつか思い返せば儚く感じるものなのかな?
「なぁ、あいつらにこれ買おーぜ!」
『え、それ買うの?』
コンビニのお菓子売り場で、悟は私に外れ当たりがあるお菓子を見せた。三つの中に一つハズレがあるというやつだ。…私これ嫌いなんだよなぁ。
でも、私は食べるつもりないし、見るのは楽しいし。
『ま、いいんじゃない?』
「だよな!」
悟はお菓子を見るキラキラした目でこちらを見た。それは私に向けられているものではないというのに、心が弾んでしまうのはどうにもならない。
私はその気持ちを無視するように、適当にお菓子を取った。
『じゃあ、私はこれを…あ』
「お前、これ嫌いだって言ってなかったか?」
手元を見れば、あるのは先程の当たり外れのあるお菓子。
なんでこれとっちゃったの…!?
『…や、やっぱりやめる』
「うわ、お前ぜってー間違えてこれ取ったんだろ?」
『……やっぱ食べる』
なんだかからかうような物言いにイラっとしたので、それをカゴに入れた。ケラケラと笑う悟はウザいけど、こうやっていられるのは嬉しい、なんて思ってしまう。
後で傑にでもあげておこうと思いながら、私は悟に「飲み物見てくる」と言って離れた。
『うーん。硝子はこれかな、いやこっち…?私はこれで良くて…』
そう選んでいると、
「あ、悟」
ふと聞き慣れた声が聞こえた。
その声の主が気になって、私は飲み物をゆっくりカゴに入れると、お菓子売り場を覗く。
「一葉、大丈夫だったか!?」
「大袈裟すぎ!大丈夫だって」
そこには一葉がいた。
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AО777 - しろりんさん» 数字の振り間違いご指摘ありがとうございました。助かりました…! (1月16日 22時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - AО777さん» 20話が抜けてます。 (1月15日 17時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
AО777 - 琥珀さん» コメントありがとうございます!オチについてですが、現在未定といったところです。思い悩んでいるところですね。はっきりお答えできず申し訳ありません。そして、応援していただけているとのこと、とっても嬉しいです!励みになります…! (12月26日 10時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - コメント失礼します!答えにくい物でしたら濁して頂いて構いません🙇️質問なのですが、オチは五条さん、夏油さんどちらのご予定ですか…?作者様の書く世界観が大好きなので、どちらでもちゃんと追って読みます☺️これからも応援しています! (12月26日 8時) (レス) @page19 id: 2c6daaf2a5 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - LuNaさん» うおぉぉ…そう言っていただけて死にそうです…(泣)性癖に刺さっていただけるとは…。コメントありがとうございます! (12月7日 5時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AO777 | 作成日時:2023年11月25日 21時