片思いの君はあの子のトリコ【呪術廻戦】

片思い20 ページ20

『はー…』




夜蛾先生の説教を食らって疲れ果てた私は、寮の廊下をおぼつかない足取りで歩いていた。




＿＿あの後、高専に帰ってきた時は既に夜。私達は丸一日サボった訳だ。つまり夜蛾先生からの拳骨とお説教が待っている訳で。



まぁ主犯は傑だったから、私はお説教だけで済んだけれど怖かったなぁ…なんて思って廊下を歩いていると、タバコを吸い外を見る硝子がいた。



彼女は私に気がつくと手招きをして私に尋ねる。




「ねぇ、夏油とデートしたってマジ？」


『……硝子それ誰に聞いたの』


「五条」


『…まぁうん、したよ、デート。強制的にだけど』




そう言うと、硝子は「ほー」と興味深そうに相槌を打ち、窓に背もたれをつく。




「Aは五条が好きなんじゃなかったのか？」


『…うん、そうだよ』


「なのに夏油とデートしたんだな」


『いや強制的だし。…でも楽しかったよ。傑の隣は居心地がいいの』





勿論硝子の隣もね。





「…そうか」





彼女はフッと笑みを浮かべ、私の頭を撫でた。





「俺は？」





『…』





ドクンと心臓が跳ねる。



その鼓動が、動揺がバレないように、ゆっくりと振り返るとそこにいたのは、





「…？なんだよ」





悟だ。

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