片思い19 ページ19
「A、次に行きたいところはあるかい？」
『行きたいとこ…』
ここ以外に行きたいと思う場所がなく、私は言葉に詰まる。
買い物は…硝子と前に行ったし、他にやりたいこともない。
『…うん。特にないよ』
「そうかい」
傑はそう言って立つと私に手を差し出す。私が反射的にその手を取ると、傑は胡散臭い笑みを浮かべ、私を立ち上らせた。
「じゃあ今度は私の行きたいところに付き合ってもらおうか」
『え』
「行こう」
車で行ってたことと全然違うじゃん…と傑の背中の後ろで思いながら、私達は店を後にした。
ーーーー＊
『…疲れた』
「そんな沈んだ声で言わないでおくれよ」
『偽れない程疲れてんの』
空が青から赤に変わった頃、私は車内の窓に頬杖ついてぐったり項垂れていた。あの後ボーリングに買い物に骨董店探しになぜか任務にも付き合わされ…etc.
もう力が入らない。
『どうして私が任務にまで…』
「まぁいいじゃないか。…悟のことは忘れられたかい？」
『…どういうこと？』
まさかと思って傑を見ると、彼は疲れなど一切感じさせない胡散臭い笑顔で言った。
「一葉と悟のあの会話を見ているのはつらいだろう？だから今日くらいは忘れられるように、と思ってね」
その言葉にハッとする。そういえば私、いつの間にか悟のことを、一葉のことを忘れていた。それは傑との時間が楽しかったから、彼が私を外に連れ出してくれたから。
だからあんなに無理矢理連れまわしたのか。
傑の気遣いに、疲れた心が温まる。
『傑…ありがとう』
「いいや、いいんだよ。Aがいつも通りでないと気が狂うからね」
『そっか』
ここから高専まで沈黙が落ちたが、やはりなぜか傑の隣は心地よい。
＿＿悟の隣はある意味居心地が悪いけれど、そこは私が望む場所。
＿＿傑の隣は居心地がよく、安心する。
きっと安心できる友達って数少ない。
ああ、本当にいい友達を持ったなぁ私は。
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AО777 - しろりんさん» 数字の振り間違いご指摘ありがとうございました。助かりました…！ (1月16日 22時) (
レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - AО777さん» ２０話が抜けてます。 (1月15日 17時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
AО777 - 琥珀さん» コメントありがとうございます！オチについてですが、現在未定といったところです。思い悩んでいるところですね。はっきりお答えできず申し訳ありません。そして、応援していただけているとのこと、とっても嬉しいです！励みになります…！ (12月26日 10時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - コメント失礼します！答えにくい物でしたら濁して頂いて構いません🙇️質問なのですが、オチは五条さん、夏油さんどちらのご予定ですか…？作者様の書く世界観が大好きなので、どちらでもちゃんと追って読みます☺️これからも応援しています！ (12月26日 8時) (レス) @page19 id: 2c6daaf2a5 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - LuNaさん» うおぉぉ…そう言っていただけて死にそうです…（泣）性癖に刺さっていただけるとは…。コメントありがとうございます！ (12月7日 5時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AO777 | 作成日時：2023年11月25日 21時
