片思いの君はあの子のトリコ【呪術廻戦】

片思い17 ページ17

「一葉、ノート見せてやる」



「一葉、今日の任務変わってやるよ」



「一葉、どっか行くときは俺呼べ」




それから、悟は一葉が何をするにもついていくようになった。過保護になったと言おうか。
私はそれを見ているだけで心が締め付けられるから、気分は絶賛不良中、天気で表すなら曇り空である。




「な、何よ悟。私に惚れた訳？」



「そ、そそそんなんじゃねーし」




頬を染めた二人を眺めて私は今日もため息をつく。私は卒業までこれを見続けなくてはならないのだろうか？それだったら最悪である。



私が頬杖をついていると、ふと影が降りた。振り向けば、そこには傑がいた。




「A、少しついてきてくれるかい？」



『…いいけど』




いつものニコニコ顔の傑は、席から立ち上がった私の手を取り＿＿いわゆる恋人繋ぎをしてきた。突然のそれに私は驚いて「えっ」と声を漏らす。しかし傑はそんなこと気にせずに、繋がれた手を挙げ、




「悟、一葉。私達は任務に行ってくるよ」



『は？』




恋人繋ぎされた手を見せつけるように悟達に声をかけたこと、そして任務という言葉に私は勢いよく傑を見る。そうしていると、振り返った悟達が驚いたように繋がれた手を見ていた。




「お、う。ってお前ら何手ぇ繋いでんだよ…？」




悟の不思議そうな顔に、私はやはり友達未満なのだと再び思い知らされて、ズキっと心が痛む。


ああ、やっぱりそうなんだな…。




「じゃ、行ってくるよ」



『わっ！？』




そう思っていると傑に手を引かれ、引きずられるように教室を出された。





ーーーー＊





『ちょっと傑離してほしいんだけど。っていうか任務って何？』



「ああ、任務は嘘さ。手はまだ離せないよ」



『…なんで見せつけたの』



「なんのことだい？」




廊下を早歩きする中、先頭を行く傑はとぼけたようにそう返事する。こいつ…！！と思っていると、傑はいつのまにか外に出る。




私はなんだか嫌な予感がして止まろうとするも、絡められた指はビクともせず、ほどけない。





『ちょっと待って！一体どこに行くつもりなの？』




校門前でやっと止まってくれた傑は、表に止まっていた車に私を乗せると、いつもの胡散臭い笑みを浮かべてこう言った。




「勿論、デートだよ」

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