片思い12 ページ12
「ねぇ、何かあった?」
『え』
あの後、少し経ってから帰ると、いつもは喧嘩ばっかりの悟と一葉が重なり合って寝ていた。ぴったりと密着している。その心地好さそうな寝顔に、私の心はズキズキと痛んだ。
しかしそれは心に秘めて、まだ起きている硝子と傑に声をかける。すると、硝子にそう言われた訳だ。…流石は硝子と言おうか。
『何にもないよ』
「隠すなよ。そういうのは吐き出した方が楽だぞ〜」
「そうだよ。特に恋心とかはね」
『っは…!?』
お菓子を食べながら微笑んだ傑に、私は素っ頓狂な声を挙げて後ずさる。すると、そう言ってきた張本人の傑は「そうなのかい!」と驚いたように声を挙げ、硝子は「ほらな」とタバコを部屋の中で吸い始めた。
『……もしかして…鎌かけられた…?』
そう呆然と呟くと、傑は胡散臭い笑みを浮かべ、硝子はフゥ…と煙を吐いた。私はそれにハッとして窓を開ける。煙臭くなったら他の二人が起きちゃうかもしれないからね。
「そうだったんだね。Aは悟が好きなのか…」
『はっきり言わないでくれる??』
「本当のことだろ。ちなみに私は最初の方から勘付いてた」
『それ言われると何も言えない…って勘付いてたの…?』
A、意外とわかりやすいよと硝子に言われ、私が肩を落としていると、傑がにっこり笑って聞いてきた。
「悟のどこが好きなんだい?」
『もう一度言うけどはっきり聞かないでくれるかな??』
「いいじゃないかい。で?」
『………優しいところ』
「「は?」」
そう言えば、信じられないと二人は声を揃えてこちらを見た。…そんなに驚かなくたって…いや、絶対驚かれるだろうとは思ったけど…。
「A、体調が悪いならなんで言わないんだ」
「男見る目ないな」
『酷い言い様だね。わかるけど…でも、なんていうかな、たまにある優しさに、惚れちゃって』
私ちょろすぎだねぇと言葉をこぼすと、彼らは悟と一葉を一瞥する。そして複雑そうな表情でこちらを見た。
…わかってるよ。
『わかってるよ。だから言ってこなかったんだし。…報われないね』
そう言って微笑めば、傑は目を見開き、硝子は横目で私を見る。
「…そうだな。ま、そういうものだろ」
『そうだね…』
__叶わないが当たり前。
__報われないが当たり前。
それが私の片思い。
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AО777 - しろりんさん» 数字の振り間違いご指摘ありがとうございました。助かりました…! (1月16日 22時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - AО777さん» 20話が抜けてます。 (1月15日 17時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
AО777 - 琥珀さん» コメントありがとうございます!オチについてですが、現在未定といったところです。思い悩んでいるところですね。はっきりお答えできず申し訳ありません。そして、応援していただけているとのこと、とっても嬉しいです!励みになります…! (12月26日 10時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - コメント失礼します!答えにくい物でしたら濁して頂いて構いません🙇️質問なのですが、オチは五条さん、夏油さんどちらのご予定ですか…?作者様の書く世界観が大好きなので、どちらでもちゃんと追って読みます☺️これからも応援しています! (12月26日 8時) (レス) @page19 id: 2c6daaf2a5 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - LuNaさん» うおぉぉ…そう言っていただけて死にそうです…(泣)性癖に刺さっていただけるとは…。コメントありがとうございます! (12月7日 5時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AO777 | 作成日時:2023年11月25日 21時