この出会いにありがとう ページ42
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期末試験がいよいよ目前に迫ってきた頃。夕飯中の雑談で、マルフォイくんは怪訝そうに首を傾げた。
「誕生日？」
「うん。来週なんだ！」
「は……？じゃあなんで去年……」
「あはは、なんか言いそびれちゃった」
一昨年はまだホグワーツに入学していなかったし、去年は『秘密の部屋』の騒動が終わったお祭り騒ぎで言う暇もなかったけれど、六月五日(ギリギリ試験が終わってない日)はれっきとした私の誕生日だ。
「マルフォイくんの誕生日はいつなの？」
「…………五日」
「！？」
「え、え、一緒なの！？」
思わず席から立ち上がった私に、マルフォイくんは苦々しい声で「最悪だ……」と呟いて頭を抱えた。誕生日が一緒なんて、こんなにもハッピーでラッキーな偶然があるのだろうか。
「やったー！お祝いだ！！」
「今の会話で何か一つでもめでたいことがあったか？」
「ああ、君のすっからかんな頭以外でね」
両手をあげてはしゃいでいた自分がちょっと恥ずかしくなるくらい、マルフォイくんはいつも通りにそっけなくて。
「そ、そんなこと言うならもうプレゼントあげないもん！」
「最初から欲しいなんて言ってない」
「えっ」
少しでも困らせたかったのに、ばっさり切り捨てる彼に結局焦ってあわあわするのは私なのだ。
「私はきみから貰いたいのに……！？」
「君に物をあげるくらいなら道端に捨てた方がマシだ」
「道端以下なの私？」
「えーん……悲しい……」
ローブの袖で出てもいない涙を拭うふりをすると、マルフォイくんは鼻で笑って「そこまで言うなら何か欲しい物でもあるのか？」と聞いた。
「僕は父上がなんでも手に入れてくださるから何も心配はしてないけどねぇ……」
「ファイアボルトとか？」
「……」
「……ごめんって」
地雷だったらしい。軽率な発言に手を合わせて謝ると、悪気がないことが伝わったのかデコピン一回で許してもらった。痛い。
ちょっと赤くなった額を触りながら、「うーん……欲しいものかぁ……」と色々想像を巡らせる。
「ケーキとか甘いものは好きだけど……」
『ハニーデュークス』の棚に並べられた色とりどりのキャンディ、お祝いのパーティで並ぶケーキやタルト、電車の中で食べたチョコレート。
思い出の中にあったスイーツはどれもきらきらしていたけれど、私は首を振って笑った。
「でも、マルフォイくんから貰えるならなんでも嬉しいや」
「……ふーん」
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ねこ(プロフ) - この出会いにありがとう さん の花言葉の意味がとっても素敵で相手のことをとっても大切に思っているのが伝わってほっこりしました(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡ 素敵な作品をありがとうございます.ᐟ.ᐟ (11月20日 0時) (
レス) @page44 id: 2eaa5d84c7 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - ぽんずさん» コメントありがとうございます！素晴らしい賞を頂けて嬉しいです…！笑 ぽんず様こそお身体に気をつけて、これからも更新を楽しみにお待ちいただけたら幸いです。 (2023年3月17日 22時) (レス) id: be1363d7b2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 初めまして！このお話の更新が出てるととっても嬉しくて毎話キュンキュンしてます！ホグワーツでこれがやりたかった夢大賞No.1ですありがとうございます！！！ご自愛ください！ (2023年3月17日 21時) (レス) @page46 id: 7bdddba4b2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 雨中と猫。さん» ありがとうこざいます！ほのぼの柔らかい雰囲気を目指して書いていたのでそう言っていただけてとっても嬉しいです…！遅筆ですが更新を楽しみにお待ちいただけたら幸いです。 (2023年3月2日 21時) (レス) @page8 id: be1363d7b2 (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 本当に今さっき作品を見つけて読まさせて頂きました新参者です……！マルフォイくんとの緩やかでほのぼのとしていながら心があったかくなるお話がめちゃくちゃ可愛くて素敵です！続き楽しみにしております、お身体壊さない様更新頑張ってくださいー！！ (2023年3月2日 21時) (レス) @page23 id: d60c007837 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル | 作成日時：2023年2月26日 0時
