おまじない さん ページ28
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次の日。すっかり怪我が完治したらしい(やっぱり大したことなかったじゃん)マルフォイくんは「……なんで僕がこんな目に」と不満げにぼやいた。
「きみが手伝ってくれるって言ったんでしょ」
「手紙を書くだけなのに丸一日かかるのは聞いてない」
「う……」
思わず口ごもると、マルフォイくんは勝ち誇ったように鼻を鳴らした。
「だって何から書けばいいか分からなくて」
「はあ？」
「普通に書けばいいだろ」
「まさか手紙の書き方を知らないなんて言うなよ」
ホグワーツを転校したくないことをどうやって両親に言い出せばいいのか、悩んでいた私にマルフォイくんが「ふくろう便でもなんでも使って手紙でも書けばいい」と提案したのはつい昨日のこと。
でもいざ羽ペンを握ると何をどう書いたらいいのか分からなくて私はほとほと困り果ててしまった。
ホグワーツをやめたくない。でも、悲しそうに手紙を読むお母さんたちを想像するときゅっと胸が締め付けられるように痛んだ。
「……傷つけたくないな」
ぽつりと呟くと、マルフォイくんは私の隣で短いため息をついた。夕方の図書室は静かで、窓から差し込む夕陽が本棚をオレンジ色に染めている。
「じゃあ昨日泣いてたのはなんだよ」
「え？」
唐突に聞かれてきょとんとしていると、彼は呆れた顔で続けた。
「他人にばっかり気を使って自分の気持ちをおざなりにするなんて、僕なら絶対やらないけどねぇ」
その言葉を聞いた瞬間、ダンブルドア先生との会話を思い出した。口調はずっと厳しいのに、言葉に込められた優しさは一緒で。
「……私、わがままになってもいいのかなあ？」
おずおずと聞くと、マルフォイくんは呆れたように肩をすくめた。
「いつもの君と何が違うんだ？」
「……えへへ、そうだよね」
さらりと当たり前のように告げられた一言に、私はへらりと笑った。
いたいのいたいのとんでいけ——マルフォイくんに唱えたはずのおまじないなのに、いつのまにか私まで元気になってしまったみたいで。もう胸は痛くない。
きっと今なら堂々と私の気持ちを言葉にできるような気がした。
「笑いごとじゃないからな馬鹿」
「ふふん、これからもっとわがままになっちゃうもんね」
「勘弁してくれ」
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ねこ(プロフ) - この出会いにありがとう さん の花言葉の意味がとっても素敵で相手のことをとっても大切に思っているのが伝わってほっこりしました(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡ 素敵な作品をありがとうございます.ᐟ.ᐟ (11月20日 0時) (
レス) @page44 id: 2eaa5d84c7 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - ぽんずさん» コメントありがとうございます！素晴らしい賞を頂けて嬉しいです…！笑 ぽんず様こそお身体に気をつけて、これからも更新を楽しみにお待ちいただけたら幸いです。 (2023年3月17日 22時) (レス) id: be1363d7b2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 初めまして！このお話の更新が出てるととっても嬉しくて毎話キュンキュンしてます！ホグワーツでこれがやりたかった夢大賞No.1ですありがとうございます！！！ご自愛ください！ (2023年3月17日 21時) (レス) @page46 id: 7bdddba4b2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 雨中と猫。さん» ありがとうこざいます！ほのぼの柔らかい雰囲気を目指して書いていたのでそう言っていただけてとっても嬉しいです…！遅筆ですが更新を楽しみにお待ちいただけたら幸いです。 (2023年3月2日 21時) (レス) @page8 id: be1363d7b2 (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 本当に今さっき作品を見つけて読まさせて頂きました新参者です……！マルフォイくんとの緩やかでほのぼのとしていながら心があったかくなるお話がめちゃくちゃ可愛くて素敵です！続き楽しみにしております、お身体壊さない様更新頑張ってくださいー！！ (2023年3月2日 21時) (レス) @page23 id: d60c007837 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル | 作成日時：2023年2月26日 0時
