ダイヤのA 来年も再来年の春も君と迎えたい 小湊亮介

恋50 ページ6

あ「…ただいまです」

美波「A！！！」

あ「…美波お母さん?」

美波「…無事でよかった…ホントに…」

今朝会ったというのにまた泣いている。

あ「美波お母さん、泣かないで？私なら、ここにいるよ」

美波「…A…」

あ「…」

気分が優れない。

ああ、そうか。

終わってしまったんだ。

ポタッ

私の目からは、涙がこぼれ落ちた。

美波「A？」

あ「まだ、皆の野球してるとこ、見たかった」

美波「…うん」

あ「まだ、皆と一緒いたかったよぉ…」

美波お母さんは、なにも言わず泣きじゃくる私をあやしてくれた。

美波「…お疲れ様、A」ﾆｺ

あ「！？」

その表情は、とてもお母さんに似ていて。

あ「…お母さん…」

美波「…へ…?」

あ「あ、いや、な、なんだかお母さんに似ていたもので…」

一呼吸おき、美波お母さんは少し悲しそうな顔をして

美波「そう」ﾆｺ

と、だけ言った。

あ「に、荷物とか置いてきます」

逃げるように、自室に向かった。

美波「…似てたのかぁ〜ちーちゃんに」

パタン


ギィ…


鳴「…」


パタン

ああ、終わってしまった。

抑えても、抑えても涙が出てくる。

悔しいのは皆のほうが大きいハズなのに。

私まで悔しくなる。

あ「…まだ皆といたかったなぁ〜」

コンコン

あ「はーい？」

ギィ…

あ「！」

鳴「よ、よぉ…」

あ「ｸｽｯ…どうしたの？鳴」

鳴「…今日、俺は姉ちゃんから見てどうだった？」

鳴「…最高のピッチング…できてた？」

あ「…んー97点かな」

鳴「！？」

あ「哲にきっちり打たれたし、ファボール出してたし?まだまだだね鳴もｸｽｯ」

鳴「…こ、小湊さんに似てきた…」

あ「？」

鳴「大丈夫。姉ちゃんの、青道の分きっちり勝ってきてやるから。だから、安心して見ててよ」

あ「…ｸｽｯ…託したよ、エース様っ！」

鳴「おうっ！」

鳴「さ、下に行こう。母さんが珍しく手料理作って待ってるよ」

あ「美波お母さんが？」

鳴「はーりきってたよー？Aが帰ってくるー！ってドタバタさ〜」

おかげで昼寝できなかったからね〜、帰ってきてからさー

と、嘆く鳴。

彼なりに私を慰めたんだろう。

かなりのドヤ顔だ…


ｸｽｯ…

あ「…ありがと」

鳴「ん？なんか言った？」

あ「んーんーなぁーんも〜」

鳴「ふーん？」

ガチャ

美波「Aおかえりー！！」

あ「え？」

そこには、

亮介、春市、御幸くん、倉持くんの姿が。

あ「なんでここに？」

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