ダイヤのA 来年も再来年の春も君と迎えたい 小湊亮介

恋48 ページ4

…かける言葉が見つからないのはマネージャー失格だろうな。

結局、こっちは4投手のリレーで戦ったけれど、稲実の絶対的エース、成宮鳴と張り合えなかった。

結果として、こちらの力不足でもあったんだ。

貴子「…鶴、渡しに行くわよ」

1番泣きたいであろう貴子。

もちろん、私も泣きたい。

それでも、マネージャーの先輩として最後くらいカッコつけさせてよ。

あ「ほら、行くよ」

3人は涙をこらえながら、走ってくる。

貴子「皆の思いが詰まっています」

あ「甲子園、頑張ってきて下さい」

言い終え、青道の方へ戻ろうとした時、鳴に話しかけられた

鳴「A！」

あ「…鳴」

鳴「待っててよ。甲子園優勝投手の名を持って帰ってくるから」

あ「うん。ほんとに頑張って」

鳴「また、あとで家に帰るよ。Aのお祝いするって母さん言ってたから」

あ「わかった」

そう言い、私は、貴子たちを追った。

鳴「…姉ちゃん…」




青心寮に帰って、優勝用に用意されていた料理に目もくれず、泣き続ける皆。

あの、亮介が泣いている。

あ(亮ちゃん…)

顔を合わせると泣いてしまう

そう誰かが呟いた。

そして、ぞろぞろと自分の部屋に戻っていく皆。

残されたのは私達マネージャーだけだった。

貴子「うっ…うぅ…」

あ「…」

3人は戸惑っている。

あ「悔しいね」

あ「あれだけ練習を積んで、あれだけご飯を食べて、あれだけ地獄の合宿を乗り越えた皆ですら届かなかった」

あ「不作の年って、言われていた皆はもういなかったのになぁ。ねぇ、貴子？」

貴子「…えぇ、そうね…皆すっごく成長した。皆、輝いてた」

あ「だから、私達からの最後のお願い」

あ&貴「「甲子園に皆を連れて行って」」

3人「はいっ！」









帰路につく前に亮介に会おうかな。

コンコン

亮「…はい」

ガチャ

あ「久しぶり、亮ちゃん」

亮「…A…」

あ「悔しいね」

亮「…あぁ」

あ「ごめん、なんて声をかけたらいいのか分からないの。でも、帰る前にあっておかなきゃって思ったの」

亮「うん。…分かってるよ。ごめんな、甲子園連れて行けなくて。あんだけ連れて行くって言ってたのにさ。お前は手術頑張ったのにさ」

あ「……前に進むしかないんだよ、亮ちゃん…」

亮「…ああ、そうだな」

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