ダイヤのA 来年も再来年の春も君と迎えたい 小湊亮介

恋47 ページ3

そして、帰国の日。

不運にも日本についた時間は、午前11時。

稲実も決勝進出を決めていて、去年の仮を返すには最高の舞台となっていた。

青道対稲実

決勝戦は12時30分からだ。

間に合うかどうか…

…野球は何が起こるか、分からない。

青道が勝っても、稲実が勝っても

おかしくはない。

鳴呀「A、無理はするなよ」

美波「はいっ！巻き髪にしたわよ！」

青道の制服に袖を通す。

久しぶりだな…

そして、青道の帽子を鞄にいれる。

あ「鳴呀お父さん、美波お母さん、行ってきます！」

私は、急いで神宮球場へ向かった。



家から神宮球場までは約1時間半くらいだ。

ギリギリ、プレイボールに間に合わない。


あ(亮ちゃん…ッ！！！)




あ「はぁはぁ…つ、着いた……」

急いで階段を駆け上がる。

見慣れた、青いシャツを着ている集団の方へゆっくりと向かう。

心拍数が加速していく。

ドキドキが止まらない。

あ「…皆っ！！」

一斉にこちらを向く集団。



あ「…っただいまっ！！！」

貴子「A…」

あ「貴子…」

自然と抱き合い、涙が止まらなくなる。

貴子「見届けようね、全員で」

あ「うん、見届けよう、全員で」

もう、2回の裏だった。

あ(亮ちゃん…)

亮介の足は大丈夫なのだろうか。

丹波は負傷していたけれど、それでもエースナンバーを背負っているのだ。

せめて、5回は投げてほしい。

あ(亮介の事、頼んだよ。倉持くん)

強がりな亮介の事だ。

きっと、倉持くんに任せたのだろう。

高校野球の最後を。




丹波が足をつるというアクシデントがあり、沢村がマウンドにたった。


カキーンッ！！！

打球は、セカンドベースの少し手前に打たれた。

万全な亮介ならなんてことのない、セカンドゴロ

万全ならばね。

抜けるっ…！

そう思った時

パシッ！！！

「アウトッ！！」

う…そ……


倉持くん、捕った…の？

ショート方向に打球がこないと予測していた…？

…それだけ、亮介と野球をまだしたいってことなんだ。

亮ちゃん、いい後輩をもったね。

…ナイスプレー、倉持くん。

ありがとう。





そのあと、亮介に代わり、春市が代打に出た。

春ちゃんは見事に打った。






沢村、白河にデッドボール。

あと、アウト1つが遠い。

あと、アウト1つで、あの舞台に。


あと、アウト1つ_____









_______だった。

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