彼女はロックを聴かない

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風「なんの動画見てんの？」



『えっと…いろいろと……』







会話終了



なるほどね、あんまり言いたくない系の見てんのね




アイドル好きとか？ 俺そういうの全然引かないけど？







風「今流行ってる曲とか知ってる？」




『私全然知らないんだよね』




風「超オススメのあるよ、聴く？」





イヤホンを片方渡そうとしたけどなかなか受け取ってもらえず






『…あ、借りていいの？大丈夫？』




風「大丈夫じゃなきゃ渡さねーから(笑)」




『そうだね、うん』




恐る恐るという感じで髪を耳にかけてイヤホンをつける





そして流すのは今一番気に入っているあの曲






まるで留守電を聞いているかのように微動だにせずただイヤホンを支えながら聴いているキミ



もうちょっと身体動かしてもよくね？全然響いてない感じ？




サビが終わったところで止めてイヤホンを受け取る





『ありがとう。なんかすごいね』




風「いいっしょ」




『うん、すごい』





さっきからすごいしか言ってないし、きっと本当はそんなに響いてないと思う




それでも一応会話を合わせてくれていることを嬉しく感じる








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