10. ページ10
.
「…ほ、ほんとに…？」
「残念だけど、全部ほんと」
「……ごめんなさい…ほんとごめんなさい…」
「いや、いいんだけどね…？」
…ジュンギュさんの話によると、
昨日バーで眠ってしまった私を送るように
マスターさんに頼まれ、家まで送ってくれた…と。
それも……ベッドまで。
…いやいや、冷静に考えてやばすぎる。
いい大人にもなって…ほんと有り得ない。
酔った状態で初対面の男の人に
家まで送ってもらうなんて…。
信じられない…
ていうか信じたくない…。
「…たぶん、僕がAちゃんの近くに座ってたから
マスターさんに知り合いって
勘違いされちゃったんだよね」
焦る私とは全く対照的に、
落ち着いた様子で話を進めるジュンギュさん。
すると、グラスに伸ばしかけた手をとめて
ちら、と私に視線を向ける。
「…もしかして、
いつもあんな風にして男釣ってたりする…？」
「ちっ、違います違います！そんなことしてません！」
そんな良からぬ考えは一切ありません！
と、首をぶんぶん回して全力で否定する。
「…ほんと、
僕じゃなかったら襲われてたからね？」
「…襲…っ？！」
無邪気な笑顔でとんでもないことを言い出した。
ジュンギュさんは私の動揺した反応を見ると、
「本気で言ってるんだけどなぁ…」
と首を触りながら小さく呟く。
「全く知らない子だったし
放っとくこともできたんだけどさ、
お酒に酔った女の子がひとりでいたら
誰に何されるか分かんないし…」
「…」
「…とにかく、あんなところで
ひとりで飲むのは ほんとに危ないから、
これからは気をつけてねっていうだけ」
ジュンギュさん…なんでそんなに優しいの…？
真剣な表情でそう言ってくれるから、
本気で心配してくれてるのかな…。
送ってくれたのがジュンギュさんで
…私ってほんとに運がよかったのかも。
「……それに、彼氏と別れてすぐに合コンって
結構変わり身はやいんだね」
「…え、？」
待って、なんで知って…
「…ごめんね？
聞くつもりなかったんだけど、
Aちゃん酔っ払ってて声おっきくてさ…笑」
「…ど、どこまで…」
「…浮気されて、別れたんでしょ？」
黙る私に、苦笑いで俯くジュンギュさん。
…はぁ、私ってほんとばか。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 374人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「TREASURE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LCS | 作成日時：2023年8月16日 15時
