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あれから1週間ほどが経った。
この1週間、
夜になっては重い気分を誤魔化すようにお酒を飲んで、
そして朝になったら寝不足のまま学校へ。
それが最近の私のルーティーン。
…なかなか質の悪い生活を送ってるな…。
…そう分かっていても、
憂鬱な気分を紛らわしていないと、
今の私はやっていけない。
「…着いた」
今、私の目の前には雰囲気のいいおしゃれな喫茶店。
今日の面接が上手くいけば、
これから私のバイト先になる。
少し前までは元彼と一緒にカラオケで
アルバイトをしていたけど、
別れてから同じ職場っていうのは
嫌でも会うことになるから辞めた。
この喫茶店は、少し前から
居心地の良さそうな素敵なお店だなって
気になっていて、ガラス張りの窓に
アルバイトの貼り紙を見つけて迷わず応募した。
「…よし、」
木製の冷たいドアに手をかけると、
からんからん、と涼しい音が
店内に響く。
「いらっしゃいませ」
お店に入ると、
目がくりっとした可愛らしい顔立ちをした男性の
定員さんと目が合った。
「失礼します。19時からの面接に来た…」
「あ、Aさんですね
店長を呼ぶので、少し待っていてください」
定員さんは愛想のいい笑顔を浮かべると、
コーヒーカップを拭きながら
お店の奥に入っていく。
…それから少しして、
お店の奥から出てきたのは、
店長らしき人……と、
「…え、」
……う、嘘でしょ…?
「…うわぁ、またすっごく偶然」
…この前と変わらない、明るい笑顔。
「久しぶり、Aちゃん」
「…ジュンギュさん…」
…ほんとに、また会えちゃった。
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作者名:LCS | 作成日時:2023年8月16日 15時