28話 ページ31
携帯で時計を見ると、夜の10時を過ぎていた。
地図機能を使わなければ、何処にいるのかも分からないくらい遠くまで来てしまった。
立ち止まってぼうっと景色を見ていると、突然車が止まる。
誘拐でもされるのかと身構えていると、深淵先生が慌てた様子で降りてきた。
「何やってんだ」
「……散歩ですよ」
「お前の家からはかなり遠いだろ、ここ。送ってってやるから早く帰れ」
「嫌です」
先生は傘をさしていない。
私は先生に傘を差し出した。
「先生、傘いりますか。濡れますよ」
「そんなことはどうでもいい。なんで帰らない」
両肩を強く掴まれ、私は口を開く。
同時に涙も零れたが、まあ雨に紛れて分からないだろう。
「両親が大喧嘩してるんです。もううるさくて嫌になって出てきました。それが99点とった優秀な娘に対する仕打ちですか」
半分笑いながら言うと、先生は悲しそうな表情をした。
あ、この人こんな顔もするんだな、と見ていると頭を撫でられた。
小さい子供をあやすような手つきが、今は優しくて心地いい。
「……乗れ。俺の家で良ければ来い」
「え、いいんですか?」
「あまりよろしくはない。内緒だ」
328人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫苑(プロフ) - うちの先生に地味に似ててめっちゃドキドキする、、! (2019年10月12日 0時) (レス) id: 97657b2818 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - 続きを楽しみにしています! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 53e0d56435 (このIDを非表示/違反報告)
みかづき(プロフ) - すごい面白いです…!更新楽しみに待ってます! (2019年4月21日 21時) (レス) id: 46965b36a8 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 忙しいとは思いますが更新楽しみに待ってます (2019年1月11日 14時) (レス) id: f6179e8ebe (このIDを非表示/違反報告)
eightwest1112(プロフ) - 続き気になります!更新期待してます(><) (2018年5月26日 10時) (レス) id: d4fd760440 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ