【名前変換オリジナル】先生こーりゃくっ！！

12話 ページ14

「あ、先生」
「…この家か？」
「はい」
「……豪邸だな」

先生の言う通り、私の家は大きい。確かに豪邸と言えるかもしれない。
…無駄に大きくて掃除がめんどくさいって母さんが嘆いてた。

「…上がってコーヒーとか飲みますか？」
「いい。俺早く帰って寝たい」
「……迷惑かけてすみませんでした、深淵先生」

私は楽しくて、帰りたくないくらいだったんだけどね。
ふうっとため息をついて視線を落とす。
…思い上がりすぎた。

「ああ、お前と話すのはすげぇ楽しかったよ。ありがとうな」

！！？？
私のもやもやとした気分は先生の柔らかい微笑みに吹き飛ばされた。しかも一瞬で。

「だって先生、早く帰りたいって…」
「うん。あらゆる欲求も睡眠欲の前では霞む」

何言ってんのこの人。

「そういえばA、お前昨日あんまり寝てないだろ」
「はい」
「何時間だ」
「え」

これ少ないと怒られるやつかな。

「早く言え」

先生の雰囲気がさっきまでとは一変した。
…車内の温度が一気に下がった気がする。
射抜くような鋭い視線に思わず目を逸らした。

「…4時間半」
「馬鹿か。そんなんで体が耐えれるわけねぇだろ」

冷たい声に、背中を嫌な汗が伝う。

「せめて6時間くらいは寝ろ」
「…はい」

先生は私の答えを聞いて、満足したように笑った。
…車内がまた暖かくなった。

「よし、分かったら帰れ」
「はい。ありがとうございました」

車を降りてお礼を言うと、先生は僅かに笑んだ。

「おう。おやすみ」
「…おやすみなさい」

…このギャップはなんですか。

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