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「そちらのお気持ちはお察ししますが・・・、
ならどうして、晴は家を捨てたんでしょう？」
「それは、色々事情がありまして・・・
話せば長くなるのですが、」
俺の目を真っ直ぐ見つめる濱田さんは、
きっと、
誠実な人なんやろう。
この人に隠し立てする事は出来んと、
濱田さんに、
洗いざらいをお話しした。
俺とともの境遇に、
濱田さんは、
時折、涙を堪えながら、
聞いて下さったものの。
「悲しい運命やったことは理解しました。
そやけど、僕も晴を真剣に愛してます。
この一年半、精一杯愛情をかけてきました。
今更、重岡さんに渡す事は出来ません。
晴の、」
濱田さんはそこで一旦言葉を切り、
つと、座布団から立ち上がった。
俺を見下ろす、
優しげな瞳の奥には、
嫉妬の炎が見え隠れしておる。
「あいつの全ては俺のもんや」
最後の一言が全てやった。
「せめて、ともに、会わせてもらえませんか？
二人だけで話がしたいんです。
お願いします」
畳に頭をつけて懇願する俺に、
「お断りします。
晴もそれを望んではおりませんから」
非情に放たれた言葉が胸を刺す。
そんなはずはないと、
この人は、ともを手放したくない余り、
口から出まかせを言うておるんやと、
自分勝手な筋書きが頭を占拠する。
「それはほんまですか？
ともがそう言うたんてすか？」
「僕は卑怯な嘘だけはつきません。
先程、舞台を終えた晴に聞きました。
お兄さんに会いたいか、
実家に帰りたいかと。
会いたくないと、
頑なにそう言うておりました。
芝居ならいつでも見に来てもろてええですけど、
晴に無理に付き纏うんだけはやめて下さい」
ともが、俺を拒絶してる？
なんでや。
すぐに迎えに行ってやられへんかったからか？
それとも・・・
俺より、この人を愛してるんか？
目の前が真っ暗になっていく。
「話はそれだけですか？
晴が家で待っとるから、
僕はこれで失礼します」
濱田さんはそう言い捨て、
俺を残して、座敷を出て行こうとしてはる。
必死でその着物の脛にしがみつく。
自尊心など粉々になっても、
どうでも良かった。
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てんよ(プロフ) - 君がため。完結お疲れ様でした！最後、ひょっとして赤くん…と悲しい結末も想像したりもしましたが、無事に2人が結ばれてよかったです笑 そして次は緑赤なのですね！続きも楽しみにしています〜(//∇//) (2021年8月22日 15時) (
レス) id: aa8042bdaf (このIDを非表示/違反報告)
じんじん(プロフ) - いっぱい泣いてしまいました！正直時代物だと少し構えてしまう部分はあったのですが、fool様の作品は続きが気になり、一気に読んでしまいました！ (2021年8月21日 4時) (レス) id: b773bba464 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - 緑くんが幸せになって嬉しいのに完結が寂しい、、時代物初でしたが、世界観が素敵でした！緑くんが儚くて美しすぎて、メロメロでした！！赤緑大好き！緑くんを溺愛する赤くん、最高です！！私もシルエットに並びました！これからもfoolさんのお話楽しみにしてます！！ (2021年8月18日 20時) (レス) id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
siman(プロフ) - 完結しちゃったんですね涙！もっと読んでいたかったというのが本音です。私の中でも特別大好きな作品になりました！この先の二人もみたい！と密かに思っていたりします、でも本当にありがとうございました！あ〜幸せになって良かったです！ (2021年8月18日 17時) (レス) id: ee8c46c09c (このIDを非表示/違反報告)
mom(プロフ) - 幸せをありがとうございました！情景や登場人物の表情や心情が鮮やかで、そのお陰か特に緑くんの健気さと美しさが際立っていたように思います。気が向いた時でいいので、呉服屋の若旦那になった緑くんと赤さんの平和で甘い日常を見たいな…なんて。君がためロスです！笑 (2021年8月18日 16時) (レス) id: 9127d19116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool
| 作成日時：2021年7月31日 20時
