君がため。６

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ほんまは大阪に残して帰るんは、
心配でたまらんかったけど
京に戻って、
両親を説得したいと思った。


Aが言葉を濁した、
大倉の家からの手切れ金の行方を、
確かめたい。


僕の考えが間違いやとええのに・・・









翌日の朝。


Aとの約束を交わした旧暦弥生３日に、

僕と紫保子さんの結納が決まったと、
父上から聞かされた。


「あの縁談は破談になったんやないんですか。
僕は納得しておりません」


「なんでや。
あんな大病院の後継ぎになれるんや。
勿体無いほどの話やろう」


「僕は今でもAだけを愛しておるんです。
他の女性は考えられません。
この家を出ても、
Aと生きていきたいと、
その覚悟は出来ております」


「あの娘だけはやめておけ。
大倉の家にとっての厄病神や。
女中のさつきをかどわかして、
義顕を誘惑させ、
孕ませた。
代々続く武家の大倉の家に、
農民の血が入ってしもたんや。
手切れ金もろて、
今はえらい下品な商売始めたらしいやないか」


父上の拳が震えておられる。


「それは違います。
父上からのお金は返したと。
女給をして貧しい暮らしをしておりました」


「金など、返ってきておらん」


苛立った父上が、
シガレットの火を揉み消されて立ち上がらはった。


お金を持ってない、いうことは、
父上に返したんやとばかり思うてた。


ではやはり。


「父上、聞いて下さい。
Aはそないなおなごやありません。
誤解なんです」


僕も立ち上がった時に、
誰か廊下を歩いてくる気配がして、
父上の書斎の前手間止まった。


襖が開いて入って来はったのは、
手術を終えて、
退院されたばかりの兄上やった。






ここで移行になります。


次章は、

忠義さんの完結、

隆平さんの、
君がため。となります。


たくさんのコメント、
そしてお星様投票、

ありがとうございます☆



最後までお付き合い下さると幸せです♪



fool

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