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お店を閉めてから、
もう一度、お爺様にお願いしてみることに決めた。
「お爺様、あの、
大倉さんとの結婚のお話ですけど。
お断りするわけには・・・」
意を決して切り出したというのに。
「そんな道理が叶うわけないやろうが。
もう店の借金も肩代わりしてもろてあるねん。
大倉物産で扱うてる、
舶来のええ食器なんかも揃えてくれるらしいわ。
大吉の大学までの学費と康子の嫁ぎ先も、
探してくれるて言うてくれてはる。
何もかも大倉はんのおかげやな」
お爺様は聞く耳も持ってくれはらへん。
「お爺様、
けど、その方と会うたこともないのに。
やはりこんな結婚はおかしくはないですか？」
義顕さんも、面識もない私をお嫁にもらうなんて、
きっとお嫌やと思うねん。
「お前はほんまに女だてらに生意気や。
頭が回る女は煙たがられる。
嫁に行ったあとは努めて、
夫を立てるんやで」
お爺様は言いたいことだけ言って、
お店を閉めてしまわれた。
沈んだ気持ちで、
足は自然に、
夕暮れ時の花街へと向かっていた。
舞妓さんになった幼馴染の華代ちゃんに、
相談しようて思て。
私の唯一の心からのお友達やねん。
お茶屋さんを覗いたら、
もうお化粧を済ませた華代ちゃんが、
そこに座ってた。
桃割髪の可愛らしいお姿。
「Aちゃん・・・」
華代ちゃんの方が、私を見て、
泣き出しそうな顔になって。
嫌な予感が、胸の中で渦巻き始めた。
「少しだけなら出てきてもええよ」
女将さんが言うてくれはって、
二人でお茶屋の暖簾をくぐって出てきた。
夕暮れの祇園の巽橋。
白川の流れを眺めながら、
華代ちゃんと黙ったまんまで歩く。
夕陽が京の街を染めて、
切ない気持ちが、加速していく。
橋のたもとで、華代ちゃんが立ち止まった。
「Aちゃん、ここにはもう来たらあかんよ。
私ね、だいぶ遅うなったけど、
やっと水揚げが決まってん。
一人前の芸妓になるねん」
その言葉の意味は・・・
屋敷が建つようなお支度をしてもらう代わりに、
旦那さんになるお相手と、
一夜限りの契りを交わして、
乙女を捨てること。
「私を見染めてくれはった旦那さん、
ほんまにお偉いお方やねんて。
遊び慣れた、この花街でもお顔のきく方。
水揚げして頂くには、
うちにはもったいないような方で・・・」
喉の奥が焼けつくように痛い。
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りり(プロフ) - 大倉くんver.確かに1番甘々ですね♪彼の風雅な佇まいがそうさせるのかな？でもいくら甘々と言えど状況は辛すぎる(＞＜)移行後も楽しみです↑◎あと専属マネージャーも！すばるくんの照れた顔想像しただけでもう…(/ω＼) でも現状個人的にヤスくんに天秤傾いてますが笑 (2018年3月6日 23時) (
レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - はじめまして。君がためシリーズ、どの作品も読み応えがあって感動しました。錦戸さんとのシリーズが私の中で凄くヒットしました。大倉くんとのシリーズも楽しみにしています。春休みなので一気に読む時間があって嬉しいです。これからも連載楽しみにしています！ (2018年3月6日 2時) (レス) id: 14a99e8554 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - 初めまして、君がためシリーズはすばるくんのが一番大好きなのですが、大倉くんのお話は地元な為なんだか外を歩くと主人公さんと大倉くんの姿を思い浮かべています。更新楽しみにしています。 (2018年2月28日 1時) (レス) id: a17ea7e194 (このIDを非表示/違反報告)
rin - これからも更新楽しみにしています！ (2018年2月24日 15時) (レス) id: 7ecee3ec5b (このIDを非表示/違反報告)
rin - はじめまして！君がため。シリーズが大好きでずっと読んでいました。耳が聴こえないとか、脚が不自由とか、ハンデがある人はこの時代はどうしていたのかなと思って、foolさんの書く小説で読んでみたいなと思っていたのですが、今回が最終章なんですね(;_:) (2018年2月24日 15時) (レス) id: 7ecee3ec5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2018年2月21日 14時
