２５ ページ25
「華代ちゃん・・・
それで幸せになれるん？」
「仕方ないもの。
私が逃げ出せば、
家族がどんな目に合うか。
それに、好きな方を不幸には出来ません。
Aちゃんは、ええお嫁さんになって、
私の分まで幸せになってね」
せやけど、うちにも借金が・・・
このままやったら、
好きな方とは結婚は出来へん。
そんなこと、声にはなれへんかった。
華代ちゃんは今まで会うたどんな時よりも、
美しく気高く見えた。
どんなに汚い男に凌辱されても、
愛する人への想いを貫き続けるその覚悟が、
華代ちゃんを、美しくさせてるんや。
「お座敷におられた学生さんでしょう？
Aちゃんのお相手。
素敵な方やね。
ほんまにお二人、お似合いや。
お互いを想うてるんが、よう伝わってきた」
「華代ちゃん・・・」
その真っ白な手を掴んだ時、
「華代！
はようしなさい。
星崎様がお待ちや」
女将さんが、廊下から華代ちゃんを呼んだ。
これから、華代ちゃんは、
隆平さん以外の人に、
つい先ほどまで、
隆平さんと触れ合うてた身体を投げ出すんや。
私が泣くことやないのに。
泣いたら、華代ちゃんを余計に苦しめるのに。
涙を堪えるんが、難しい。
「Aちゃん、お幸せに」
華代ちゃんが、
垂らした帯を揺らして、
私に背中を向けて駆けてく。
舞妓はんの華代ちゃんを見るんは、
今日が最後。
もう会うことは、二度と叶わん気がして、
怖くてたまらんかった。
帰りの人力車に揺られながら。
何から話してええんか分からずに、
私はずっと自分の右手を、
自分の左手で包み込んでた。
ただよしさんが、
その私の手をそっと包み込む。
「震えてる・・・
冷えてへんのに、どうしたんやろうな」
そう言うて、私の気持ちを軽くするように、
笑いはる。
「あの・・・
ただよしさんは、
大倉さんというんですか。
もしかして、大倉物産の・・・」
「苗字さえ言うん、忘れてしもてた。
Aさんに会えると、いつも、
胸がいっぱいで・・・
何から話したらええかすぐに分かれへんなってしもて」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 394人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りり(プロフ) - 大倉くんver.確かに1番甘々ですね♪彼の風雅な佇まいがそうさせるのかな？でもいくら甘々と言えど状況は辛すぎる(＞＜)移行後も楽しみです↑◎あと専属マネージャーも！すばるくんの照れた顔想像しただけでもう…(/ω＼) でも現状個人的にヤスくんに天秤傾いてますが笑 (2018年3月6日 23時) (
レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - はじめまして。君がためシリーズ、どの作品も読み応えがあって感動しました。錦戸さんとのシリーズが私の中で凄くヒットしました。大倉くんとのシリーズも楽しみにしています。春休みなので一気に読む時間があって嬉しいです。これからも連載楽しみにしています！ (2018年3月6日 2時) (レス) id: 14a99e8554 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - 初めまして、君がためシリーズはすばるくんのが一番大好きなのですが、大倉くんのお話は地元な為なんだか外を歩くと主人公さんと大倉くんの姿を思い浮かべています。更新楽しみにしています。 (2018年2月28日 1時) (レス) id: a17ea7e194 (このIDを非表示/違反報告)
rin - これからも更新楽しみにしています！ (2018年2月24日 15時) (レス) id: 7ecee3ec5b (このIDを非表示/違反報告)
rin - はじめまして！君がため。シリーズが大好きでずっと読んでいました。耳が聴こえないとか、脚が不自由とか、ハンデがある人はこの時代はどうしていたのかなと思って、foolさんの書く小説で読んでみたいなと思っていたのですが、今回が最終章なんですね(;_:) (2018年2月24日 15時) (レス) id: 7ecee3ec5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool x他1人 | 作成日時：2018年2月21日 14時
