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「ゆっくりでええよ」
ただよしさんが、
手首を掴んでた手を離して、
私の指を取ろうとして、
びっくりしてはる。
「・・・ケガしてるやんか。
どうしたん？」
言葉遣いが急にくだけたんに気付いて、
この方に甘えたい、
頼る気持ちで胸がいっぱいになった。
「珈琲の器で切ってしもたんです。
華代ちゃんのことを考えてたら・・・」
「華代ちゃんていうんが、大切な友達？」
「そうです。
子供の頃、近くに住んどって、
一緒に学校に通ったお友達。
女学校に上がってすぐ、
お家が傾いて、
学校をやめて、祇園で舞妓さんにならはりました。
私、とんでもない恐ろしいことをしてしまいました。
華代ちゃんの水揚げのこと、
隆平さんに伝えてしもたんです。
隆平さんは、私と華代ちゃんの幼馴染で、
二人は子供の頃から想い合うてるんです。
もし二人が鴨川に入水心中でもしたら、
私のせいです・・・」
全て胸の内を吐露してしもたら、
身体じゅうから力が抜けて・・・
ただよしさんの広い胸に、
しなだれかかってしもた。
「Aさん・・・
一人でよう、そんな辛いこと、
抱えて・・・」
ただよしさんの声も震えてる。
涙が後から後から溢れた。
「二人がどないしたか、
確かめに行こ。
心中だけは止めさせんと・・・」
ただよしさんが一緒にいて下さるなら・・・
心強さに、すっかり頼り切った気持ちになっていた。
通りに出て、ただよしさんが人力車を拾ってくれはって。
駆けつけた隆平さんのお家の呉服屋さんでは、
大騒ぎになってた。
隆平さんのお父上が、
「Aちゃん、
仕入れに行ったはずの隆平がおらんなってしもたんや。
鴨川の川べりに馬車が捨て置かれてたて、
酒蔵の吉さんが知らせに来てくれたけど、
当の本人は姿を消してしもたんや・・・」
悲痛な声で私に取りすがるように、
お聞きになる。
隆平さんに言われたように、
「私は知りません」
言いかけたけど・・・
「まさか。
華代ちゃんのとこに行ったんちゃうやろな。
二人で逃げでもしたら・・・
うちはもうおしまいや・・・」
おじさまが床に崩れ落ちるのを見て、
そんな約束、すぐに忘れ去ってしもた。
「おしまいて、
おじさま、どういうことですか？」
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りり(プロフ) - 大倉くんver.確かに1番甘々ですね♪彼の風雅な佇まいがそうさせるのかな？でもいくら甘々と言えど状況は辛すぎる(＞＜)移行後も楽しみです↑◎あと専属マネージャーも！すばるくんの照れた顔想像しただけでもう…(/ω＼) でも現状個人的にヤスくんに天秤傾いてますが笑 (2018年3月6日 23時) (
レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - はじめまして。君がためシリーズ、どの作品も読み応えがあって感動しました。錦戸さんとのシリーズが私の中で凄くヒットしました。大倉くんとのシリーズも楽しみにしています。春休みなので一気に読む時間があって嬉しいです。これからも連載楽しみにしています！ (2018年3月6日 2時) (レス) id: 14a99e8554 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - 初めまして、君がためシリーズはすばるくんのが一番大好きなのですが、大倉くんのお話は地元な為なんだか外を歩くと主人公さんと大倉くんの姿を思い浮かべています。更新楽しみにしています。 (2018年2月28日 1時) (レス) id: a17ea7e194 (このIDを非表示/違反報告)
rin - これからも更新楽しみにしています！ (2018年2月24日 15時) (レス) id: 7ecee3ec5b (このIDを非表示/違反報告)
rin - はじめまして！君がため。シリーズが大好きでずっと読んでいました。耳が聴こえないとか、脚が不自由とか、ハンデがある人はこの時代はどうしていたのかなと思って、foolさんの書く小説で読んでみたいなと思っていたのですが、今回が最終章なんですね(;_:) (2018年2月24日 15時) (レス) id: 7ecee3ec5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2018年2月21日 14時
