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けど、そんな生活でも、
希望はある。
ギター奏でてる時だけは、
何もかも忘れられて、
自由になれるねん。
キャバレーの客は、店のホステスが目当てで、
俺の歌なんか、真面目に聞いてはおらんのは知ってるけど、
たった一人でも、
自分の思いが届けばええな、て、
そう思いながら、
ステージに立ち続けてる。
ステージ歌手の先輩や、
演奏家の人たちに可愛いがってもろて、
必死に音楽を学んで、
自分で、旋律や歌詞を作る楽しみを知った。
男の客は誰一人聞いてはおらんけど、
店の女の子たちや、
ボーイさんらは、
俺の歌に、
喜んでくれることも、
増えてきた。
A姉ちゃんは、
「章ちゃんの歌は、
聴く人の心を元気にさせてくれる」
いつもそう言うねんけど・・・
けど、俺の歌を聴く度に、
少し涙ぐんでるん、気付いてる。
無理にはしゃいだ笑顔で、
客に酒を注ぎながら、
誰にも気付かれへんよう、
ステージの俺を見る目は切なあて。
視線が絡まる度に、胸が締め付けられるねん。
１年が過ぎて、また夏がやって来た。
A姉ちゃんは、二十歳、
俺は１６になった。
相変わらず、年をごまかして、
キャバレーで歌を歌ってる。
A姉ちゃんだけでも、
はよう、この仕事は辞めさせたい。
考え始めてた。
ある日の夜。
店主の蒔田さんに、
俺だけが、呼び出された。
「新しい店を新地にも出すことなってな。
今夜開店やねんけど。
章大、今日はその店で歌って来てくれ。
向こうの店の仕事は給金、３割増しやで？」
A姉ちゃんと離れんのが心配やったけど・・・
３割り増しの金がもらえる。
時々、俺が新地の新しいキャバレーで歌えば、
A姉ちゃん、
もう、店を辞められるかもしれへん。
俺は子供やった。
あいつの企みに気付かずに・・・
新地の店は自転車では遠いから、
切符代も、払うてくれるて。
新しい店では、
お客さんらが拍手喝采してくれはって、
ステージに立ってる間に、
最終電車がなくなってもうた。
仕方なく、始発で帰った、朝方。
ガタガタする扉を開けて、
家の中に入る。
A姉ちゃん、まだ寝てると思うたのに。
目の前に広かった光景に、
血の気が引いていく。
土間には、脱ぎ捨てられて、
鼻緒のちぎれた草履が転がってる。
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みき(プロフ) - やすくんの君がため。また読みにきちゃいました(//∇//)色んなやすくんをfoolさんの作品で読ませて頂けて幸せです！ (2020年11月20日 21時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 焼き直し、ありがとうございます。新しい作品として読めました！切なくて、でも2人の愛をすごく感じました！ (2019年11月7日 16時) (レス) id: ad46af1069 (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - 焼き直しで初めて読んだので、私にはありがたかったです。切ないけどハッピーエンドで良かった！ (2019年10月30日 22時) (レス) id: a8bccc7358 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - 焼き直し、お疲れ様です(*^^*) 新鮮な気持ちで読ませて頂いてます♪ (2019年10月28日 21時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
ぷーかは年中無休。|´-`)(プロフ) - すばるくんの話、感動で泣いてしまいました…とてもいい作品でした… (2018年3月26日 23時) (レス) id: cb0b6d334f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年9月18日 6時
