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ASide
失ったはずの心を取り戻す事がある。
その日・・・
キャバレーまで、
芸能社の偉い人が、訪ねて来はって。
ギターを弾いて歌ってる章ちゃんを見て、
プロの歌手にしてくれる、
言わはってん。
その瞬間に、
夢遊病にかかってた、私は、覚醒した。
８年前の、
あの悪夢が、蘇る。
蒔田さんに襲われかけた時、
包丁を突き立てた私に。
あの人はこう囁いた。
「章大がどないなってもええんか？
あのままやったら、
学もなく、
流しの歌手として、
埋もれるだけや。
もし、Aちゃんさえ、
その気んなって、
俺の妾になってくれたら。
章大を上の学校にやらせてやってもええねんで」
「章大は、何度説得しても、
学校には行かへん。
学校なんか行かんでも、
あの子は勉強、自分でやって、
世の中で必要なことは、
何でも知ってます。
そんな脅しには屈しません」
「そんなら、
章大をプロの歌手にしてやる、
いう条件でどうや？
神戸の芸能社の社長にな、
昔からの知り合いがおるねん。
あの人に頼んでみてもええ。
キャバレーで歌う場末の歌手やないで。
ラジオや映画で、
あいつの作った歌が、流れるねん。
そうしたら、関西の街だけやない。
日本中の人間があいつの声に聞き惚れるんや。
素晴らしいやろ？
俺がなんとかしたるさかい。
やからな？
Aちゃん、物騒なもんは捨てて、
仲良うしてくれ」
キャバレーで歌うようになってから、
章ちゃんが、
日に日に音楽に没頭しているのを、
私も肌で感じてた。
初めて自分で作った曲を、
ギターで弾いて歌ってくれた時、
この子には、
人を惹きつける、
誰かの救いになる曲を書く才能があるて、
確信したんは、
姉のひいき目やないと思う。
元々、努力家な子ぉやったから、
夢中で音楽の勉強をして。
章ちゃんにとって、
音楽は、たった一つの生きる希望になってた。
「章大には才能がある。
Aちゃんも、ほんまは気付いてるやろ？
こんなとこで終わらせたら、
勿体ないて」
必死で説得する蒔田さんが、
嘘ついてるようには見えへんかったから。
私は包丁を投げ捨てた。
章ちゃんが幸せになる事だけが、
子供の頃からの私の夢。
私は貰われっ子やった。
誰にも聞かされてへんけど。
まだちゃんと、
お父さんに連れられて、
安田家に初めて来た日のことを覚えてる。
４歳ごろ。
章ちゃんが生まれた、その年の冬。
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みき(プロフ) - やすくんの君がため。また読みにきちゃいました(//∇//)色んなやすくんをfoolさんの作品で読ませて頂けて幸せです！ (2020年11月20日 21時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 焼き直し、ありがとうございます。新しい作品として読めました！切なくて、でも2人の愛をすごく感じました！ (2019年11月7日 16時) (レス) id: ad46af1069 (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - 焼き直しで初めて読んだので、私にはありがたかったです。切ないけどハッピーエンドで良かった！ (2019年10月30日 22時) (レス) id: a8bccc7358 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - 焼き直し、お疲れ様です(*^^*) 新鮮な気持ちで読ませて頂いてます♪ (2019年10月28日 21時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
ぷーかは年中無休。|´-`)(プロフ) - すばるくんの話、感動で泣いてしまいました…とてもいい作品でした… (2018年3月26日 23時) (レス) id: cb0b6d334f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年9月18日 6時
