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「章ちゃん、泣かんとき」
A姉ちゃんが、
不安をかき消すように、
僕の手をぎゅっとつないでくれた。
姉ちゃんがいてくれるから、
また歯を食いしばって、
笑って、生きていけるて、思えた。
姉ちゃんがおらんかったら、
僕はきっと絶望して、
この世にはおらんかったかもしれへん。
それからの３年は、
子供二人で、生き延びるために、必死やった。
敗戦の後すぐ、
近所の人にも手伝ってもろて、
トタンと廃材で雨風しのげるだけの家を建てて、
そこでA姉ちゃんと、暮らしてる。
狭いけど、
たったの二人きりやけど、
心が休まる、
俺にとっては、
幸せな我が家。
戦争が終わったあの日から、
まだ幼かった俺のために、
A姉ちゃんは、朝から晩まで働きづめや。
やっと雇ってもらえたうどん屋の仕事しながら、
夜は夜で裁縫の仕事をして。
こんなに無理して、
いつか倒れるんちゃうかなかって。
心配でたまらん。
お父さんはいつまでも帰って来ずに、
行方不明のままやし、
この世に、俺らは、たったの、二人きり。
もしA姉ちゃんまで、
おらんなってもうたら。
俺は、生きてる意味を見失ってまいそう。
笑ってても、
心の奥底では、
いつもその事に怯えてる気がしてる。
A姉ちゃんの負担を少しでも減らすために、
俺も、子供ながらに、
鉄くず拾ってお金にしたり。
じいちゃんに習ったギターを弾いて、
歌を歌って、小銭を稼いだ。
そうして、
A姉ちゃんは１９歳、
俺は１５になった。
俺は小学校出ただけで、
中学はすぐにやめてもうた。
はよう、A姉ちゃんに楽させてやりたあて。
角の大工さんとこで、
見習いとして働き出してん。
そのこと、A姉ちゃんが、
あんまりよう思ってないんは、
なんとなく感じてる。
見習いの給料は、
思ったよりも、ずっとか少なくて、
ちっとも、
A姉ちゃんに楽さしては、あげられへん。
自分が無力で情けなあて、
仕事の帰り道に、
空に浮かんだお月様を見てると、泣けてくるねん。
そんなある日。
「章ちゃん！章ちゃん！」
A姉ちゃんが興奮した顔で帰って来て。
玄関でカバンの中身をざあっと開けた。
床に広がったのは、
チョコレートに小麦粉、砂糖にドロップ。
アメリカ産の缶詰もたくさんあった。
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みき(プロフ) - やすくんの君がため。また読みにきちゃいました(//∇//)色んなやすくんをfoolさんの作品で読ませて頂けて幸せです！ (2020年11月20日 21時) (
レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 焼き直し、ありがとうございます。新しい作品として読めました！切なくて、でも2人の愛をすごく感じました！ (2019年11月7日 16時) (レス) id: ad46af1069 (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - 焼き直しで初めて読んだので、私にはありがたかったです。切ないけどハッピーエンドで良かった！ (2019年10月30日 22時) (レス) id: a8bccc7358 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - 焼き直し、お疲れ様です(*^^*) 新鮮な気持ちで読ませて頂いてます♪ (2019年10月28日 21時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
ぷーかは年中無休。|´-`)(プロフ) - すばるくんの話、感動で泣いてしまいました…とてもいい作品でした… (2018年3月26日 23時) (レス) id: cb0b6d334f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年9月18日 6時
