キミガシネ短編集ゥゥゥゥ

奴が来た ページ14

※謎の平和時空

昼食を取り終わり、皆で食堂で話していると食器の片付けをしていたはずのカイさんが深刻そうな顔をしてこちらに来た。


「皆さん…奴が来ました…！」


その一言でこの場にいた者全てが察した。

カイさんが恐る「奴」とは、恐らく主夫の敵のGで始まる黒いあれであろう。


その場に数秒の沈黙が流れたが、それを打ち消すようにレコさんが口を開いた。

「な、なぁ、誰か退治できるやつはいねぇのか！？私はこのままアイツと同じ空間に居るなんて嫌だぜ！？」


「…それができたら苦労しないよねー…」


「すみません、私もゴキジ○ットが有れば倒せるのですが…」


それにケイジさんとカイさんが反論する。


そして再び場に沈黙が訪れた。


(駄目だ！このままじゃ話が進まない…早く退治しないとレコさんが言うように奴と同じ空間で生活しなければならなくなる…！)


「あの！ここはもう公平にジャンケンで負けた人が退治するというのはどうですか！」

突然立ち上がり発言をした私に皆が視線を向けた。


「正気かサラ！そんならお前さんが退治しなきゃならんくなるかも知らんぞ！」


「ククク…だが考えてもみろハンバーガー井太郎、このまま話し合いが平行線だとオレたちは一生奴と同じ空間で生きることになるぞ。オレはそれが嫌だ！だからオレは多少自分がリスクを負うことになっても千堂院紗良の意見に賛成する！」


「そうだぜ！このままじゃ何も進まねぇ！オレもサラに賛成だ！腹括ってジャンケンするぜ！」


反対意見もあったものの結局ほとんどの人が私の意見に賛成し、ジャンケンで犠牲者を選ぶことになった。


「「「最初はグー！ジャンケンポン！」」」


「…」


「や、やったー！先生、私たち勝ちましたね！」


「え、えぇそうですねナオさん…」


「これでカンナは安全なんですね…」


「…陰キャ…ざまぁ見ろワン…」


「…」


結果はソウさんがチョキで他は全員グーを出した。

そう、ソウさんの1人負けだ。


「クッソ…よくもやってくれたな！！サラ！！ボクにこんなことをさせるためにジャンケンなんて言ったのか…」


「それはもうキミの運が悪すぎただけだ、ソウ。なんでもサラちゃんのせいにするのは良くないんじゃない？」


「ではソウ君、私についてきてください。しっかり奴を退治していただきますからね。」

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