君と2人で歩く日々を II【仮面ライダー】【スーパー戦隊】【短編集】

真夜中の話【555：乾巧】 ページ8

・リハビリ用のオリジナル話、わりと雑。


冬の夜中に目が覚めると最悪だ。
寒くて静かで、中々再び寝付けない。その時間がかなり辛い。
さらに、今日のAが眠りに戻れない理由はもう1つあった。
それは昼間、同棲している彼氏の乾巧と喧嘩をしてしまったこと。
原因は些細なこと、というか最早はっきり思い出せないのだが、一旦言い争うと売り言葉に買い言葉、いつの間にか喧嘩になっていた。

暗い部屋に1人で横になっていると、あんな言い方するんじゃなかった、寝るまでに謝れば良かったとぐるぐる考えてしまう。
隣を見ると、巧はAと若干距離を取り、背を向けて眠っている。
別に普段だってさほど近寄って寝ている訳ではないけれど、今日はその姿を見ているのが無性に悲しかった。
きっと寒さのせいだ。そう思いながらAは縋り付くように巧の背中にくっついていた。

温かい。
無意識に目を閉じ、うとうとする。

「……何してんだ」
そんな声でハッとした。

「ご、ごめん」
「別に謝らなくていいけど……眠れないのか」
「まあ、うん……さっき起きちゃって、そこから寝付けないの。ほら、寒いからさ」

くっついたことを誤魔化すように、Aはもごもごと喋る。
巧は少しの間黙っていたが、不意に寝返りをうってこちらを向くと、Aを引き寄せた。
急なことにAはフリーズし、暫くしてようやく自分が抱き締められていることに気付く。

「あの、巧？ えっと、これどういう」
「……寒いんだろ」

巧がぼそりと言う。少しでも寒さを和らげてくれようとしたということか。
……確かにさっきまでよりずっと温かい。何より彼の優しさが嬉しい、嬉しいけれど。
こんなに近くにいたら、いくら寒くなくても緊張で到底寝ることなどできない。かと言って今更変に身動きするのも何だか恥ずかしい。
多分向こうも同じなのだろう。2人は黙ったまま、かと言って眠れないまま、布団の中でじっとしている。
この分では寝坊してしまうかもしれない。だがまあその時はその時だ。
温もりの中で、巧のパジャマの胸元をきゅっと握る。

「……ねえ、巧。昼間はごめん」
「……いや。俺の方こそ悪かった」

もう暫くはこうしていたい。










今更冬の話？って感じですが、これ書き始めたのたしか1月ぐらいだった＋私の住んでる地域はまだ結構寒いのでご勘弁を。
たっくんはなんだか定期的に書きたくなる。

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