君と2人で歩く日々を II【仮面ライダー】【スーパー戦隊】【短編集】

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最悪だ。告白どころか、全然ちゃんと渡せなかった。それなのにチョコも包装も凝りに凝って、どう見ても本命とわかる仕上がりになってしまっている。
マンションに帰りついたAは、暫くそのまま塞ぎ込んでいた。

しかし、数日後。
少し外の空気を吸った方がいいと木場が言うので散歩をしていたら、ばったり巧と出くわしてしまった。
またも焦って固まるAに、巧は小走りで駆け寄ってきて言った。

「この前はありがとな。……美味かった」
「ほんとですか……？」
「ああ。ああいう苦くてザクザクしてるの、いいよな」

彼は笑う。Aもほっとしたのと嬉しいのとで少し笑顔になった。
肝心な言葉は言えなかったけれど、こうして喜んでもらえたんだから良かったかもしれない。

「……良かったです。すみませんでした、逃げちゃったりして」
「いや、それは別に。……それで、ちょっと相談なんだけどよ」

巧は首の後ろに手をやって続ける。

「ホワイトデーにお前に何渡すかずっと考えてたんだけど、自分じゃ決めれそうにないんだよ。……だから、ホワイトデーの日、どっか買い物行かねえか。そんでお前が気に入る物が見つかったら、俺が買ってやるから」

Aは瞬きする。

それはつまり、デート、なのだろうか。そう思うのは自惚れすぎだろうか。
いやそもそも、そんなに色々考えてくれたのか。自分のために。

脳の処理が追いつかないAは、巧の「嫌なら別に……」という声でハッとした。

「い、行きましょう。行きたいです。是非」
Aが慌てて言うと、彼は頷いて目を逸らす。

「……じゃ、メールするから。ありがとう。またな」

巧はひらりと小さく手を上げて、走っていった。
Aは熱い頬を押さえながらそれを見送る。
ホワイトデーまで、あと3週間弱。










リクエストありがとうございました。
多分両片想いです。でも付き合うまではまだかかりそう。
あと本編だと全くそんなのなかったけど、たっくん目当てで菊池に来てるお客さんって絶対存在する気がします。

元気になってよ。(ss詰め)【秋山蓮/桐生戦兎】→←2人は不器用【555：乾巧】➷

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