君と2人で歩く日々を II【仮面ライダー】【スーパー戦隊】【短編集】

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「なんか、逆チョコっていうんだっけ……とにかく、俺もAに用意してたんだ。夜に渡そうと思ってて」

買ったやつだけど、と剣崎君は照れるように笑って、それから少し表情をシャキッとさせて続ける。

「いつもありがとう。支えてくれて、励ましてくれて。ほんとに感謝してる」

彼はそう言い終わるとまた優しい笑顔になる。

「そんな、こちらこそいつもありがとう……！」
どぎまぎしながらチョコを受け取った。
まさかこんなことがあるなんて。夢みたいだ。
だんだん顔が熱くなってきて、慌てて今度こそ部屋に戻ろうとする。

「……それでさ……！」
「うん？」

しかしもう一度呼び止められ、私は振り向いた。
彼は「えっと……」と自分の髪をくしゃくしゃっとしてから、決意したように顔を上げる。

「……それ、本命チョコなんだ」
「え？」

何が何だか分からない私に、剣崎君は続けた。

「バレンタインに男からってのもちょっと変かもしれないけど……今日、Aに告白するつもりだった。でもAが先にチョコくれて。本命とかじゃなさそうだし、どうしたらいいか分からなくなっちゃって……だけど」

剣崎君は真っ直ぐ私を見る。今度は完全に真面目な顔だ。

「Aが好きだ。付き合ってください」

その言葉に、一気に自分の頬が染まるのが分かった。
そうだ、ちゃんと返事をしないと。
彼を見つめ返す。

「わ、私も、剣崎君が好きです。ほんとは私も告白したくて、けどそんなの無理って思って、何も言わずに渡して……」

必死に喋る私の頭を、剣崎君がぽんぽんと撫でた。

「ありがとう。……良かった、振られたらどうしようかと思ってた」

＿＿どうやら、お互い考えていることが色々同じだったらしい。
私たちは顔を見合わせて、あははっ、と笑った。










リクエストありがとうございました。
なんとなく、剣崎君はしれっと逆チョコくれちゃったりしそうって思って。ほんとになんとなく。

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