君と2人で歩く日々を II【仮面ライダー】【スーパー戦隊】【短編集】

不意打ち【剣：剣崎一真】➷ ページ3

➷バレンタイン企画・＊桜もち。様リクエスト作品


別に告白するわけじゃないもん。
袋の口を締める青いリボンの形を整えながら、自分に言い聞かせる。

私は剣崎君が好きだ。人を守るために戦う強くて真っ直ぐなところが。自分の方が大変なのに私を気にかけてくれる優しいところが。
でもそんなこと言えない。振られちゃったら一緒に生活するのが気まずくなるだろうし、そうなると琹ちゃんや白井君にも迷惑だし、何より今の関係が壊れるのが怖い。
だからこれは友チョコだ。友チョコ。普通に渡せばいい。
深呼吸してリビングのドアを開け、「剣崎君」と呼んだ。

「どうした？」
「えっと、はい、これ」
袋を渡すと、剣崎君は「うぇっ！？」と目を見開く。

「俺にくれるの？ ていうかこれAが作ったの？」
「うん」
「マジか、ありがとう！」
彼は嬉しそうに笑ってくれた。

「どういたしまして」
「けどほんとにすごいなこれ、スペードの形になってるんだ」
「あ、それはね、型使って＿＿」

私の説明を聞く間も、剣崎君はうんうん、と頷いて、ずっとニコニコしてくれて。
この笑顔が見れただけで十分幸せだなあと思う。

けれど、じゃあそういうことで、と部屋に引っ込もうとすると、剣崎君に「ちょ、ちょっと待って！」と止められた。
「あ、あのさ」
そう言って彼がバッと差し出したのは、薄いピンク色の可愛い丸い箱。

・→←・

ラッキースポット

立風館道場

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す