君と描く物語-RETURN-

＃３８ ページ38

天元side

A｢天元さん、本気ですか…？｣

天元｢勿論。本気だし正気だ｣

A｢いやいや…いくら何でもこの量は…っ｣

俺達の目の前には両手を広げても収まりきらない程の量のドレスが並んでいて、それを見てAが愕然とする

何せ、今並んでるドレス…全部 Aに着て欲しい 俺が選んだドレスの山だから…！

A｢こんなに試着したらスタッフさんにもお手間取らせちゃいますし、そもそもこの量は非常識じゃ…｣

｢そんな事ありませんよ〜！お綺麗な奥様ですもの、色んなドレスを着てる所を見てみたいと思うのは当然ですよね！｣

天元｢ほら！お店の人もこう言ってる事だし！｣

俺があれこれドレスについて話をしてる内に
すっかりスタッフの人とも意気投合し、渋るAを一緒に説得してくれる

｢では、奥様はこちらでフィッティングを行いますので！｣

A｢本当に これ全部着るんですか！？｣

｢はい！きっとお似合いですよ〜！｣

天元｢楽しみに待ってるぜ〜｣

奥のフィッティングルームに、数人のスタッフと共に流れ込むドレスの山とAを見送る

｢旦那様も、良ければ今の間にタキシードの実物をご覧になりますか？

差し支えなければ、身長や肩幅などの採寸も行いますね｣

天元｢あぁ、はい。お願いします｣

Aのドレス姿が楽しみ過ぎて、自分の衣装の事なんて頭からしっかり抜けていた

案内された部屋で採寸を終えると、俺の体型に合う衣装のスペースまで案内してもらう

白のタキシードは勿論、カラードレスの時用に白以外のタキシードもあり
やはり自分の衣装よりも、この色のタキシードなら…Aはこういう色のドレスだろうか…などと想像ばかりが膨らむ

｢旦那様も宜しければご試着頂けますので、ご希望の物がお決まりでしたらお声掛け下さいね｣

天元｢あー…はい。いや、でも俺は…｣

｢そうですか？ご試着なさったら、きっと奥様も喜ばれると思いますよ？｣

Aが喜ぶ…


＿A｢わぁ！天元さん素敵ですね！/// こんな素敵な人が私の旦那さんだなんて、本当に夢みたいです！｣※妄想です


天元｢……うん、悪くないな！じゃあ、これでお願いします｣ｽｯ

｢かしこまりました！では、あちらでご試着下さいませ｣

天元｢はーい｣

ｼｬ…ｯ！


我ながら単純だって思うけどさ、Aの喜ぶ顔が見れるなんて言われれば…

天元｢…ふ｣ｸｽｯ

鏡に映るタキシード姿の自分を見て、よりAのドレス姿が待ち遠しくなった

＃３９→←＃３７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す