君と描く物語-番外編-

＃４３ ページ43

私はずっと、天元さんや雛鶴さん達の話でしか 天元さんのお父様の事を知らなかった

昔ながらの古風な考えを持ち、常に威圧的であり 簡単に人を寄せ付けぬ厳格な父親


＿天元｢特に父親とは 俺が家を出る数年前から まともに言葉も交わしてなかった…

反りが合わないくて顔合わせても口も利きやしねぇ｣

＿雛鶴｢お義父様は……一言で言えば、古風なお考えの方という感じで｣

＿須磨｢私は正直嫌いです！｣

＿まきを｢私も一度も会話らしい会話はした事ないわね

奥様は柔らかい方だけど、旦那様はにこりともしないし…｣


そのどれもが、私の中の"天元さんのお父様"という人物を作り上げてきた


だけど……

満継｢そんな天元の選んだ娘が、どんな人物なのか知りたくてな……

まさか 私相手にあそこまで堂々と思いをぶつけて来れる者が居ようとは…流石に驚きはしたが、同時に納得させられた

天元は信じていたのかもしれないな…君なら私を納得させられると

いきなり引き止め、挙句 試す様な真似をしてしまってすまなかった｣


やっぱりそうだ……この人は…

A｢そこまでする程、心配…だったんですよね？天元さんの事｣

幾つになっても親にとって子は子と言うけれど、どんなに厳格な親だって 実の子を心配しない訳が無い

人から聞くだけじゃ分からない部分は沢山あって
現に今、実際に本人と会話をして得た印象は 聞いてた物と まるで違う物ばかり…


多分この人は…周りが思うよりもずっと、子供(天元さん)達に対して真摯に向き合おうとしているんじゃないのかな

その伝え方が分からないだけなんじゃないのかな……


満継｢…妻に言わせると、私はかなり不器用らしい

特に子への愛情表現は上手くいった試しがない
今まで自らが受けた教育法しか知らない私には到底 出来る訳もなく、そういう役割は全て妻が担ってくれていた

だからせめて、良き道へ導ける当主(・・)と言う役割を全う出来るよう努めてきた

結果的に それすらも上手くいかなかったがな…｣

A｢…っ…そんな事ありません…！時間が掛かったとしても、必ず愛情が伝わる時が来ますから…っ

私に出来る事があれば何でもしますし…！｣

って、私また出過ぎた事…っ

満継｢……っふ、それは頼もしいな｣

A｢…！///｣


天元さん、やっぱり親子ですね…

頑固で不器用で…目を細めて少し照れ臭そうに笑うその顔は、本当に良く似ている


…なんて言ったら、貴方はどんな反応をするのかな

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