君と描く物語-番外編-

＃４０ ページ40

満継｢単刀直入に聞こう……君は、天元の恋人なのか？あいつと……将来を誓い合う仲なのか？｣

A｢…っ｣

空気が更に引き締まる感覚が全身に走る

先生が私の両親に挨拶しに来てくれたあの日から、私もそうすべき日が来るんだって意識してきた

それが今日なんだ…

ちゃんと、言わなきゃ………っ


A｢……はい…天元さんとは結婚を前提にお付き合いをさせて頂いてます

ただ…籍を入れるのは、少なくとも私が大学を卒業して以降になりますが…｣

満継｢…！…随分と若く見えるとは思ったが、まだ学生だったとは……

十も年の離れた相手との結婚など苦労が絶えないぞ
増してや、あの自由奔放な天元となど……

…君は天元から、私達家族の事は聞かされているのか｣

A｢ご実家で過ごした頃の事や、ご兄弟の事は…以前天元さん本人から少し伺いました……

それと、先程 雛鶴さん達からも少し…｣

満継｢……そうか、なら多少は我が家がどんな一族か知っているだろう

こんな家に生まれ育った者に嫁いだとて、普通の幸せなど手に入らんぞ

確かに天元は、私や先祖代々 受け継がれてきた家風を毛嫌いしているが…やはり血を分けた実の子
どれだけ拒絶していようと、あいつの体にもしっかりと宇髄家の血は流れている

いつか必ず、あいつの嫌うそれ(・・)が 無意識の内に顔を出すだろう

分家から本家に嫁いで来る歴代の嫁達は、全ての事情を知り
幼き頃からの積み重なる覚悟の上で嫁いで来た者ばかりだ

それを、君のような他所から来た娘が受け入れられるとは到底 思えん…

中途半端な覚悟を掲げて あいつの隣に立ちたいと言っているだけなら……

今直ぐ…この場を立ち去った方が身の為だぞ｣ｷﾞｯ

A｢…っ｣

一瞬でも気を抜けば、その声の圧と気迫に心が潰されてしまいそう


だけど……

A｢……お言葉ですが…っ｣ｸﾞｯ

満継｢…｣ﾋﾟｸｯ

脅えてるだけじゃ駄目だ…って……ちゃんと伝えなくちゃいけないんだって分かってる


そして自分自身の気持ちを真っ直ぐに伝えるのに必要なのは
ほんの少しの覚悟と勇気…それから…

A｢私は天元さんのご家族に比べれば、一緒に過ごして来た時間も確かに短いです…

でも……それでも私はちゃんと知ってます

天元さんの優しさも儚さも暖かさも……強さも弱さも、全部知った上で傍に居たいと言ってるんです…！

生半可な気持ちだなんて……思わないで下さい…！｣


天元さんを誰よりも愛する気持ちだけ

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