君と描く物語-番外編-

＃１９ ページ19

千影side

続いて三人目は……

小芭内｢千影｣

千影｢…！小芭内さ…小芭内先生｣

小芭内｢ふっ…無理に呼び方を変えなくてもいいんだぞ…これから部活か？｣

千影｢はい｣

A姉ちゃんもそうだったって言ってたけど、俺も入学して二年経っても
ふとした時に小芭内さんって呼んでしまう癖が抜けなくて

それに気付く度に小芭内さんに笑われてしまう

小芭内｢そういえば、この間の抜き打ち小テスト 良い点だったな｣

千影｢たまたま前日に自習してた所が当たっただけだよ｣

小芭内｢流石 千影だ。そういう積み重ねが確実に力になる｣

千影｢…///｣

小芭内さんは普段はマスクをしているから、余り表情を伺い辛く…他の生徒達からは近寄り難いと思われがちな先生の一人だったりするけど

本当は相手の事を良く見て褒めて伸ばすタイプだって、俺は知っている

小芭内｢にしても、今日は部活に向かうのが少し遅めだな｣

千影｢あぁ…ついさっきまで冨岡先生の手伝いをしていて…デスクの整理とか｣

小芭内｢何！冨岡の奴…っ…千影の手を煩わせおって……

大体あいつは効率が悪いんだ。丁寧な作業とただ手が遅いのでは訳が違う…
あいつは完璧な後者。そもそもデスクの整理くらい独りでも出来て当然……｣ﾈﾁﾈﾁｯ

千影｢ま…まあまあ…っ｣

人の事 良く見ているからこそ、駄目な所の指摘も的確 且つ辛辣でもある…
蜜璃姉ちゃんを始め、俺達姉弟には底無し沼くらい優しいんだけどなー…

小芭内｢…っと、そう言えば今週末に甘露寺家にお邪魔する予定だが…何か食べたい物はあるか？｣

千影｢もしかして手土産？いつも気にしなくていいって言ってるのに…｣

小芭内｢いいんだ、俺達が持って行きたいだけだから気にしないでくれ｣

千影｢わかった…斗和達にも聞いておきます｣

小芭内｢あぁ、頼む………ん？あれは冨岡と不死川か？｣

小芭内さんがそう言って目線をやった先には、おはぎを片手に意味深なにやり顔を決めてる冨岡先生と
今にもキレだしそうに肩を震わせる不死川先生の姿

千影｢わー…あれ放っといたらヤバいやつなんじゃ…｣

小芭内｢自業自得だ｣

千影｢小芭内さん…っ｣

小芭内｢……ﾊｧ…仕方ない……千影のその優しい性格は姉さん達そっくりだな｣

千影｢…！｣

そう言う小芭内さんだって…俺が言わなくても 普段ちゃんと止めに入ってくれるの、知ってますよ…

小芭内さんも、底抜けに素直な蜜璃姉ちゃんの選んだ良い人なんだ

＃２０→←＃１８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す