君日記（ Ⅰ ） (ページ36)

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廉「俺らも行くで」

そう言って、

私の手を取る廉くんは

いつにも増して力強かった

.........

紫「Aちゃん！

　見てこの貝殻！」

彼の手には、

私が5歳のときに拾ったものと

そっくりな色の貝殻があった

「....かわいい、」

うまく言葉が出ない、

5歳のときのあの感情が

そのまんま再びわいてくる気がした

その感覚で

うまく頭が回らない、

君を近くに感じるたびに

好きが募ってしまう

たとえ私を思ってくれていなくても

どんどん好きになっちゃう

「ねえ、紫耀くん、」

「....ん、？」

顔を上げた君の目と

私の視線が一致する

太陽に照らされ

一層輝く君は

何千倍もかっこいい、

「昨日、あえなかったの、

　寂しかった、」

彼の瞳が大きく動く

そして

涙がひとつ、

こぼれ落ちた

「紫耀くん、？」

君の中で

なにか大きくて暗いものが

ずっしり横たわっていることは

なんとなく感じられる

すぐに彼の手を取って

どこか静かなところへ行こうとした

が、

君は私の手を掴み、

紫「そばにいてほしい、」

そうつぶやいた

かすかに震える君の声や手。

「大丈夫、いるから、、」

何があったとか

どうしてこうなってるとか

確かに知りたい

でも今は、

とにかく

君が頼ってくれたこと

嬉しかったんだ。

何度も

大丈夫、大丈夫

そう言いながら

背中をさすり続けるうち、

私自身も

気持ちが楽になってる気がした