君日記（ Ⅰ ） (ページ2)

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"「なあ、こんなの見たことあるー？」"

　それが君が話しかけてくれた言葉。

　はじめましての私に、

　なんの躊躇いもなく笑いかけてくれた。

　君は、

　前髪が汗とか水で濡れちゃってて、

　背は私と同じくらい。

　でも目がすんごくキラキラしてたな、

　同時に感じた胸の高鳴りが、

　まさか今まで続くなんて思ってなかったな、

　
　「.....私も、はじめて、、」

　もちろん誰の目も見ることができないまま、

　私は雑にそう答えた。
　

　うん、はじめて。

　初めてだったよ？

　そんなお花を見たのも、

　誰かに話しかけられたのも、

　目があっただけで、

　心臓の奥がくすぐったくなったのも。

　正直、

　「ひとりなん？
　そーなんやったら、まざるか？」

　そう言ってくれた関西弁の彼のこととか

　「よかったらお友達にならない？」

　そう話しかけてくれた彼女のこと

　はっきりと思い出せないや、、

　
　砂浜に落書きをしたとき、

　
　君は、ひたすら円になるように
　線を引き続けていたよね

　何描いていたのか
　さっぱりわからなかったけれど、

　あれは確かに、
　花火だったよね、？

　かくれんぼをしたとき、

　
　真っ先に秘密基地に連れて行ってくれたよね、

　私の手を、ぎゅっと握って

　走り出したあのときの感触、

　実はずっと忘れられないんだ。

　最後に宝探しゲームをしたとき、

　みんな色とか形が珍しい貝殻を
　握りしめていたよね、

　"これ友達の印だよ"

　はじめて誰かと遊んで、

　はじめて思い出ができて、

　はじめてバイバイしたくないと思い、

　はじめてまた会いたいと思った、

　5歳の夏でした。

　
　それから、ずっと私の頭の中には

　君がいたんだよ、？

　君しかいなかったんだよ、

　私が、

　君と同じ世界にいられなくなってからも.... 」