【オリジナル】君アレルギー

８話 ページ8

いつも通り喧嘩した後、いつも通りの左崎との帰り道。




｢ま、待って！委員長！｣

｢いった！？ちょ、引っ張るなよ…！｣



左崎を家の前に送ったのに、最初の日を思い出す行動をされた。痛い。

何だと思い顔を覗き込むと、茹でだこや林檎などの真っ赤ものが思いつくくらい顔を赤くさせていた。



｢…なんかあったのか？｣

｢えっと…えっとね？ うん…やっぱりなんでもない！｣

｢は？｣



なんだコイツ。
下を向いてモジモジとしたかと思えば何でもないって。




｢きになるんだけど？ 早く言えよ｣

｢うるさいわね！ 何でもないって言ってるでしょ！？｣

｢いっった！！ なんで俺叩かれてんの！？｣

｢しつこいからでしょ！！｣



理不尽。
可愛らしくもじもじしてるーとか思ってたら…可愛げのないやつ。



｢じゃあ、帰るからな｣

｢あっ……うん｣




そして次の日。

｢ごめん、委員長！ 今日用事があって…！｣

｢そんな事言って、サボろうとか思ってないだろうな？｣


｢思ってないわよ！ あ、やば。じゃあね、委員長！｣




走るように左崎が帰り、勉強会は無くなった。




｢用事があるなら仕方ないか…｣




少しだけ、ほんとに少しだけ、ぽっかりと心に穴が開いたような。
そんな虚しさに襲われた。



……今日は、帰ろう。



重い足を引きずるようにして家に帰った。









そしてまた次の日。
現在はHRだ。



｢えー、今日は大事なお知らせが一つある｣




いつもより引き締めた顔で言う先生。
大事なお知らせ？この時期に学校行事ってなんあったっけ……。





｢左崎が入院する事になった｣



その瞬間、教室がざわりとした。
このクラスに左崎なんてあいつしかいない。



“左崎柚花が入院した”という事なのだろう。
ざわりと背中が凍り、思考が追いつかなくなった。




あのうるさいくらいに元気な阿呆女が、入院…？




｢学校に来れそうな時は来るけど、来れない時はあっちで……って、楠木！？｣




ガタリ、と立ち上がり走り出した。
先生の静止も、まだ空を飛んでる鳥の鳴き声も耳に入らなかった。
耳が本当に機能しているのかと思うくらい入らない。

全速力で走って足がおかしくなってるがそんなの気にしてられない。




入院なんて…なにがあったんだよ……！





町で一番大きい病院に駆け込むと、左崎の居る部屋の番号を聞く。


教えてもらうと、俺は急いで部屋へと向かった。

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