君いる所は雨降る (ページ9)

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栗花落ページ9

圭人の家は殺風景で、ベッド、机、椅子、クローゼットしかなかった

圭人「何も、ないよ」

「圭人は日頃、何してるの？」

圭人は少し考えて

圭人「いろんなところ、行ってる」

と答えた

圭人「だけど、俺が行くと、皆悲しむ」

「どうして？」

圭人は椅子に座った

圭人「俺がいるところ、いつも雨降るから」

圭人がいるところはいつも雨…

「それじゃ、学校付近で大雨が降ってたのも…」

圭人「俺が、近くにいたから」

「俺の家の時も？」

圭人は頷く

「けど、この森には降ってないね」

圭人「よく、わからないの。

俺には、わからない」

圭人はそう言った

俺は空気を変えようと、服を取り出す

「これ、昨日の」

圭人「…ありがとう」

そして服の奥に隠していたものも

「圭人、これあげる」

それは昨日撮ったこの森の風景写真だ

圭人は首を傾げた

「写真って言ってね、これから2人の写真を圭人の家に貼ってこうよ‼」

圭人「どう、して？」

俺は微笑む

この気持ちを圭人に伝えたい

だけど、拒絶されたくない

だから、まだ心の中にしまっておく

「寂しいじゃん、何もないと。

だから…ね？」

そう言うと圭人は満面の笑みで頷いた

「それじゃ、早速1枚‼」

カメラを取り出して、圭人と肩を組む

圭人は若干頬を赤らめながらも写真に写ってくれた

それから森の中は探索できないから家の中でたくさん話をした

とは言っても、ほとんどが俺だけど

部活の話とか、両親や弟の話

圭人は何も文句なんて言わずにただ聞いてくれるだけだった

それでも嬉しかった

どれだけ話したかわからないけど、しばらくして侑李が来た

侑李「…そろそろ帰んないと、もう6時だよ？」

俺が学校を出たのが4時くらいだから2時間も話していたことになる

侑李と圭人は入り口まで見送ってくれた

「あの…侑李」

俺は話したかったことを話そうとする

すると

侑李「別にいいよ。

来たければ来たら？」

言いたかったことがわかったのか、返答をする

「…いいの？」

こくんと頷く侑李

俺は嬉しくてガッツポーズした

そして帰ろうとすると、同じく森から誰かが出てきた

「えっ…」

重岡「裕翔…くん」

それは学校帰りのシゲくんと

「ん、友だちなん？」

圭人みたいな緑色の瞳をした男の子だった

「えっと…」

重岡「そうだよ、神ちゃん」