君いる所は雨降る (ページ6)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:10,863 hit

栗花落ページ6

朝起きると絶好の晴れだった

いつもの準備の他に乾いた圭人の服と何枚かの写真を紙袋に入れて自転車に乗り込む

学校の駐輪所で自転車を飛び降りて、鍵をかけて教室に向かう

「おはよう‼」

そう言うと皆が返してくれる

いつものメンバーのところに行くと本を囲んでいた

やまが俺に気づく

「珍しいじゃん、何読んでるの？」

山田「妖怪の本だよ。

昨日、裕翔が妖怪の話をしたから話したくなっちゃって」

やまは大の妖怪好きだ

山田「雄也は妖怪信じる？」

隣にいた高木くんに話しかける

高木「信じない。

妖怪なんていないんだから」

ボタンをイジイジしながらそう言う高木くん

山田「ビビってるでしょ」

高木「はぁ⁉

ビビってねぇし」

そんなふうに話していると

「妖怪なんてこの世にいらない存在。

消えるべき存在なんだよ」

声が聞こえて、振り返るとクラスメイトの聡くんがいた

「聡くん…」

松島「この世は人間によって作られたもの。

そのバランスを崩すものなんて消すべき」

聡くんの家は神社で先祖は悪い妖怪を退治してきた

だから、妖怪＝悪いと言うイメージが根についているのだろう

山田「なんか辛辣～。

ねぇねぇ、重岡くんは？」

やまはシゲくんにも話しかける

重岡「…別に。

いてもいなくてもどっちでもいいと思う」

シゲくんは一瞬本から目を離すも、すぐに戻す

読んでいたのは医学の本だった

「医者に…なりたいの？」

重岡「…あぁ」

短い返事で終わる

山田「裕翔は？

妖怪信じる？」

やまは俺に話を振ってきた

妖怪…か

西洋の妖怪である妖精は侑李で見てるし

「…うん、信じてるよ」

俺は嘘をついたってすぐにバレるから素直に言う

山田「ほら‼

妖怪いるんだって‼」

高木「信じてる人が多いだけ‼」

そうやってワイワイ話していると、担任の先生がやってきた

皆自然に静かになる

俺は窓の外を見た

いつもは放課後になるのが憂鬱だけど、今日は早く放課後になってほしい

もしものために傘も持ってきてるし

「…早く放課後にならないかな？」

山田「何、デート？」

「うぇあ⁉」

やまが耳打ちしてくるから変な声を出してしまう

「やめてよ、やま」

山田「それよりも、裕翔。

なんで放課後になって欲しいの？

今までは嫌がってたのに…」

「うーん、内緒‼」