君いる所は雨降る (ページ4)

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桜雨ページ4

侑李「ごちそうさま」

侑李と圭人はぺろりとカレーを完食した

「美味しかった？

侑李「美味しかったよ。

ねっ、圭人」

圭人「智洋と、同じくらい」

「智洋…？」

聞くと侑李が圭人の口を押さえる

侑李「…何もない」

侑李は羽根を広げた

侑李「じゃ、帰るから」

「えっ…羽根、濡れてるよ」

侑李はハッと自分の羽根を見る

透明な羽根が濡れていてさらに透明になっていた

「傘、貸すからさ。

歩いて帰りなよ」

俺は家にある1番大きな傘を貸した

圭人はマジマジと傘を見つめる

「ねぇ、圭人って…」

侑李「見た目は人間だけど、人間じゃないよ。

それよりもさ、裕翔」

うまく話をはぐらかされた

侑李は外に出て傘をさす

侑李「もう2度と用もなしに森に来ないで」

「えっ」

どうして、と聞こうとしたけど侑李はジッと俺の目を見てきたから言えなかった

侑李「圭人、帰るよ」

圭人「…裕翔は、悪い人間じゃない」

圭人は侑李にそう言う

そしてぎゅっと俺の裾を引っ張ったのだ

侑李「…圭人」

侑李は圭人の腕をとった

圭人「侑李…」

侑李「人間はそう簡単に僕たちに優しくするわけないんだから。

わかった？」

圭人はゆっくり頷く

そして俺にぎゅっと抱きついてきた

圭人「またね、裕翔」

俺も圭人を抱きしめる

「またね、圭人」

そして圭人と侑李は傘をさしたまま暗闇に消えていった

食器を片付けていると、洗濯機が鳴る

「…あ」

そこで俺は思い出した

圭人に服を返し忘れた、と

侑李には森にくるなと言われている

けれども今回は用有りだ

明日、森に向かおう

片付けが終わって、明日の準備をしているとメッセージがきた

やまからだった

『裕翔‼

宿題どこだっけ⁉』

俺はすぐに返信する

『数学のプリントだよ、今日配られた』

そしてふと思い出し、質問を送る

『妖精って妖怪？』

やまは妖怪が好きだから知ってると思うけどな…

しばらくすると返信がきた

『ありがとう‼

妖精は西洋の妖怪だよ』

じゃあ、侑李は妖怪

圭人は…妖怪なのか？

確かに目の色は俺たちと違うけど、侑李みたいに明らかに違うところがない

明日…服を届けたときに…聞いてみよう

そう思って眠りについた