秋霖 ページ14
「にゃ〜ったく、騒がしいと思ったら」
入ってきたのは…慧だった
「慧!!」
慧「気持ちよく寝てたら上からケンカが聞こえて、もしかしてと思って人間の姿で来てみたら…そういうわけね」
「慧、大変なんだよ!!」
慧「何が?」
重岡「外、森!!」
慧が青い瞳で森の方を見ると、今までにないほどの焦りを見せた
慧「なにあれ…どういうこと!?」
「俺の…俺の友だちが火をつけた!!
今すぐ止めに行きたい、皆を救いたい。
だから…お願い、この拘束を外して」
慧は真っ直ぐ俺を見る
慧「その皆って言うのは?」
「侑李、勝利、智洋。
…圭人も」
慧はその言葉を聞くと、俺のカバンをあさりだした
慧「人間は信用しなかったんだよね。
それは皆一緒でさ、最初来た時は嫌がってたでしょ?
けどね、どんどん笑顔になってった。
その理由は…『楽しいから』なんだよ」
慧は筆箱に入っていたハサミを見つけて、縄を切っていく
慧「誰も信用しなかった勝利も、気難しかった侑李も、いつも1人だった智洋も、自分に対してネガティブだった圭人も…ね?」
縄が切れた感覚がした
次はシゲくんの番だ
慧「だからさ、救ってきてよ。
皆を」
シゲくんの縄も切れる
俺たちは一目散に部屋を抜けた
『お前ら…どうして部屋を抜け出している!?』
重岡「誰が教えるか!!」
シゲくんは1発、パンチを入れた
「シゲくんって、何か格闘技でもやってる?」
重岡「ボクシングを少し。
アマチュアやけどな」
俺も…負けてられない!!
迫ってくる大人たちにパンチやキックを入れて交わしていくと、出口が見えた
俺たちは大人が来てないことを確認して森に向かって走り出す
というか…
「俺ん家の近所じゃん…」
なんで今まで気が付かなかったんだ?
「シゲくん、近道分かるよ」
重岡「マジで?」
「うん、近所だもん」
シゲくんは俺の肩を掴んで揺らした
重岡「早く案内!!」
「…わかった!!」
他の人の家の敷地に入らないように上手く抜けていく
どんどんオレンジ色の炎が近づいてきた
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作者名:慧jump | 作者ホームページ:http://wakabassl
作成日時:2020年8月3日 23時