君いる所は雨降る (ページ2)

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桜雨ページ2

「ただいまぁー」

家に帰り、濡れた制服を洗濯機に入れる

両親は外国に仕事に行っていて、弟もそれについて行っている

俺だけはわがままを言ってここに残らせてもらってるんだけどね

私服に着替えると、暗室に入り今日撮ったフィルムを取り出す

今の時代はデジタルカメラが主流だが、俺はフィルムカメラの方が好きだ

シャッターを押した瞬間を絶対に残しておけるから

しばらくして写真を現像しているとインターホンがなった

「はーい。

…誰だろう？」

俺の家にはあまり人が来ない

来るとしたら宿題を忘れたやまか、両親からの贈り物だ

部屋を出ると、大きな雨の音が聞こえた

やっぱり降ってきたんだ…

侑李はちょうそ止んでいるときに帰してくれたんだ

感謝しなきゃ

そう思いながら玄関を開けると、誰かが立っていた

「…どなたですか？」

名前を聞くが返答がない

黒いパーカーを着ていて、目元までフードをかぶっている

不審者かな、と思って閉めようとすると、その人の体がぐらりと揺れた

「うぇあ⁉」

急いでその体を支える

冷たい服に対して熱い体

「もぅ…」

そのままほっといたらこの人はどうなるのかを考え、引きずりながらも家の中に入れる

タオルを引いて、ソファに寝かせた

「…すいません」

体を拭くためにそっとパーカーを脱がせる

「うっ…」

フードからチラリと見えたのはキリッとした顔だった

俺は息を飲む

そして見える白い肌

心臓の高鳴りが止まらなくなっている

「…ふぅ」

息を整えて、濡れた体を吹き始めた

「んぁ…」

甘い息が彼の口から溢れる

そしてゆっくりと目が開かれた

緑色の瞳が見える

「…おはよう」

気がついたら言葉を発していた

「おは…よう？」

「どうしたの、俺の家のまで」

彼は首を傾げる

「…わかんない」

そしてそっとそんなことを言った

「わかんない…？」

「君を見て…そしてらぼぉっとしてきて…気がついたらいた」

そう…七日

すると彼が小さくくしゃみをする

「寒い？」

コクリと頷く彼

また高鳴りが大きくなる

「お風呂、入ろっか」