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「今日はありがとうございました。」
能瀬さんと身支度を整えて、松本さんたちにお礼を言う。
二人は玄関まで見送りに来てくれた。
「2人とも気をつけて。」
「何かあったら連絡してね。」
「ありがとう。」
最後まで温かい言葉を頂いて、私たちは松本家を後にした。
階下に降りて外に出ると、1台の車が止まっていることに気付く。
おそらく、蕪木さんが乗っているはず。
「蕪木さん。」
声を掛けて、窓から運転席を覗く。
私たちの予想は合っていて、蕪木さんが気付いてくれた。
「お疲れ様。」
「ありがとうございます。」
能瀬さんと2人で後部座席に乗り込み、挨拶をする。
「お世話になります。」
「いいのよ。仕事のついでに迎えに来たから。」
蕪木さんは明るく答えてから、車を出してくれた。
・
「道が混んでいないといいけど。
佐倉さんから送るわね。」
「はい。」
クリスマスに一番近い週末の夜は、
いつもより街が綺麗で浮かれている。
私はこれから、まーくんの家に向かうことにしていた。
こんな風に彼の誕生日の前に時間があるのは、本当に珍しいこと。
「今日のMステは楽しかった？」
「楽しかったです。」
「かっこよかったですよ。」
「そう思ってもらえて良かったわ。」
蕪木さんからも今日の感想を聞かれて、能瀬さんと二人で答える。
心なしか、蕪木さんの声が弾んでいる気がした。
しばらくお話していると、私には聞きたいことが思い浮かんだ。
「…蕪木さんも、クリスマスはお仕事ですよね？」
「そうよ、マネージャーだからね。」
「ライブ会場にいますね。」
ふふっと笑う蕪木さんに、能瀬さんも頷く。
「佐倉さんだけじゃないわ。」
「はい…///」
ケーキを販売する自分のことだけ見てしまいがちだけど、マネージャーの蕪木さんやヘアメイクの櫻井さんだってクリスマスはお仕事。
私だけじゃない。
「でも、クリスマスは相葉くんに会いたいよね。」
「会いたいです///」
私の思っていることを分かっているかのように、蕪木さんは話してくれる。
普段はもちろん、こういう自分の気持ちを人に話すことはない。
仕事が重なっていても、まーくんの誕生日をお祝いしたいし、クリスマスも一緒にいたいと自然に思ってしまう。
「仲良いですね＾＾」
「良いことね。」
能瀬さんと蕪木さんにこう言われて、いつになく照れる。
クリスマスに一番近い週末の夜は、
私の心も浮かれているみたい。
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作者名：おちょう | 作成日時：2019年7月20日 18時
