《4.23up》君の隣で眠らせて～Scene.Masaki.A.～番外編２ (ページ17)

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「やっ…まーくん…」
「Aの匂い、覚えておく。」

え？
私もちょうど、まーくんの匂いが必要だと思っていたところだ。

「ふふっ」
「ん？」
「同じこと考えてる。」
「匂い？」
「うん。」
「ほんと？もっと良い匂いにしとくんだった。」
「十分だよ。」

まーくんは香水をつけてることもあるけど、つけてなくても私の好きな匂いだよ。

と、首筋に触れている彼の鼻先が少し動いて、キスをひとつ落とされる。

そこから唇が離れると、今度は彼と目が合った。

私もたぶんダメだ。
きっと、まーくんに凄く会いたくなる。

抑えられない気持ちを予感しながら、キスをした。

・

この日から、私はまーくんのお家で彼に会えなくなった。
まーくんだけでなく、他のお友達ともなかなか会えなくなった。

感染症は日々広がっているので、もしかしたらラジオ局から番組をお届けするのも難しくなるかもしれない。

いつまで、こんな日々が続くんだろう。

現代の医療がいくら進歩していたとしても、全く予想の出来ない事態だった。

そんな中でも、家にいる時は私の家族の両親と犬のマサルさんがいてくれる。
一緒に過ごす時間が、一日の中で心落ち着く時間になった。

家族のためにも、私がウイルスに感染するわけにはいかない。

そして、元気に過ごしてまた必ずまーくんに会いたい。

そう決意した私は、毎日予防に気をつけるようになった。

・

4月に入ると、ラジオ局に行けない日が出てきた。

出勤する人数も限られているとのことで、本当に出来るだけ皆が接触しないようにリモートワークが推奨されている。

私の担当する番組も、私が自宅から参加できるようにリモートでお話することになるみたい。

…予防のために仕方がないことだけれど、やっぱり寂しさはある。

スタッフの皆さんやリスナーさんとのやり取りが、私は好きなんだ。

普段の仕事が出来なくなったことで、その魅力に気付かされた。

前にまーくんと二人で話した「一緒に住む」ということは、私が今の仕事を辞めるということ。

前に進みたい気持ちはありつつも、とても名残惜しい。
まだ、まーくんに返事は出来ていない。

・

その日の夜のこと。
私はお風呂から上がって、冷蔵庫のお茶をグラスに注いで、そのまま自分の部屋に持って来た。

いつものように、顔にたっぷりの化粧水と乳液。
バスタオルで拭いた髪にドライヤーをかける。

今日もお疲れ様、私。
この時間が結構好き。