１１．いつものペース。〜貴女〜 ページ35
「A、そわそわしてる。」
隣に座ったまーくんはふふっと笑って、目の端っこがきゅっと細くなった。
「だって、初めて座るから///」
新幹線に乗ってそわそわするなんて、まるで小さい子供みたい。
「ここ押すと倒せるよ。」
「ありがとう。」
リクライニングの仕方を教えてもらって、ゆっくり座れるようになる。
後ろの席に座っている人はいなかった。
お隣の席も、今のところいない。
乗っている人は他にもいるはずだけど、
本当にラッキーな席なんだ。
「まーくん、席替わって欲しくなったら言ってね。」
「うん、ありがとう。」
彼と目が合う。
そして、何か言おうとしていた。
「周りの席に人がいないね。」
「うん。」
「二人っきりだね。」
「…うん///」
私の耳元に唇を寄せてこっそり囁かれ、
ちょっとびっくりする。
確かに周りに人はいないけど…
ここは新幹線の中だよ。
嬉しいけど///
心の中で呟くと間もなく、新幹線はホームを発車した。
・
東京駅のホームを離れると、窓の外の風景が広がる。
東京や大宮はお家の数が多く、そこからだんだんと畑や樹木が増えていく。
こうして、流れていく風景を見ているのは楽しい。
「なんかいいね。」
まーくんも、リクライニングをしてゆったりしていた。
同じく窓の外を見ている。
「まーくんは北陸の方って…」
「うん、あんまり行く機会がない。」
「そっか。」
「あ。ツアーで行ってるから、観光とか出来てないの(笑)」
「あっ、ライブで。」
「そうそう。だから、今回は貴重。」
そうだよね。
私もおばあちゃんが住んでいなければ、新幹線に乗って会いにいくこともなかったな。
静かな車内、まーくんと二人で落ち着いていられる。
少しだったら、お喋りも出来る。
今の状況をありがたいと思うと同時に、
私は安心していた。
この席を取ってくださった蕪木さんには、帰ったら金沢のお土産を渡そう。
もちろん、嵐の皆さんにも。
「そうだ。クッキーあるけど食べる？」
「食べる☆」
彼はクッキーが結構好き。
今日は朝からお仕事だったし、楽しいからちょっとしたおやつを準備してみたんだ。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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作者名：おちょう | 作成日時：2017年10月10日 22時
