１０．待ち合わせ。〜貴女〜 ページ34
ここ1週間くらいは、特にドキドキする自分を宥めていた。
今はまず、まーくんと待ち合わせをしなきゃ。
待ち合わせ場所は、東京駅の新幹線ホーム。
多分、私の方が先に着くと思う。
東京駅はやっぱり人が多いな。
人の波を乗り切って、新幹線改札を通ってホームに向かった。
・
エスカレーターを降りて、待ち合わせ場所のホームに着く。
私たちの乗る車両はもう少し歩いて…
この辺かな。
まーくんはまだ来ていなかった。
お昼を過ぎた時間、ホームにいる人はそんなに多くはない。
良かった。
この感じだと、普通に待ち合わせ出来そう。
『着いたよ。』
彼にメッセージを送って、スマホの画面を閉じる。
お泊まり用のボストンバッグの持ち手を、きゅっと握り直した。
まーくんは今日、朝からお仕事してると聞いている。
今のところ、何も連絡がないから時間には間に合いそう…？
・
ドキドキしながら待っている時
「A」
名前を呼ばれてそちらを振り向くと、
彼が立っていた。
「まーくん。」
「お待たせ。」
キャップを被ってマスクをしているけれど、ちゃんとまーくんだった。
「オレたちの乗るのはこの辺？」
「うん。切符を見るとそうかなって///」
待ち合わせ出来た現実にホッとしつつ、ドキドキが加速する。
私たちは普段、外で会うことがほとんどない。
「あっ/// 私もマスクした方がいいよね。」
まーくんと一緒にいることが周りに分かると、困るのは彼の方。
肩にかけたカバンの中から、マスクを取り出す。
「A。焦んなくていいから。」
「え…///」
キャップとマスクの間から覗く瞳に、じっと見つめられた。
「顔見えなくなるし、マスクはあんまり好きじゃない。」
しかも、こんな風に言われて一気に顔が熱くなる。
まーくん…///
「今は外にいるから///」
声を抑えつつ、私はマスクを着けた。
・
しばらく待っていると、新幹線がホームに滑り込んでくる。
まだドキドキしながら、私もまーくんに続いて乗り込んだ。
わ…
車内は明るくて、席も少しゆったりしているような気がする。
「ここだよ。Aは窓側の席ね。」
「え…」
「いいよ。」
マスクの下で、彼は柔らかく笑う。
「ありがとう。」
荷物を上の棚に上げてもらって、窓側の席にそっと座った。
やっぱり普通の座席よりゆったりしていて、頭の後ろには枕もついている。
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作者名：おちょう | 作成日時：2017年10月10日 22時
