４．まるで小旅行？〜雅紀〜 ページ28
「えーと…？」
「あっ！オレのプロポーズ大作戦は、ちゃんと考えてるから。」
「そうなの？(笑)」
あぁ、Aが笑ってる。
色々な都合で、オレはまだプロポーズ出来ていない。ちょっとだけ、焦る気持ちはある。
プラス、おばあちゃんに一緒に会いに行こうって言われたのが嬉しくて。
つい、気持ちを口に出してしまった。
「『果報は寝て待て』って昔から言うし、待ってるね。」
よしよし。
と、Aに思いっきり頭を撫でられた。
「ちょっと古かったかな。」
「ううん、分かるよ(笑)」
そして、「果報は寝て待て」ってどんな諺(ことわざ)だったっけ。
朝の時間は、二人とも甘えながらこんな話をしていた。
・
「おばあちゃんの家には、いつ頃行くの？」
飲み物を淹れつつ訊ねる。
Aは温かい紅茶で、オレは冷たいお茶。
二人で起きてから、Aはブランチの準備をしていた。
オレはそのお手伝い。
「夏か秋かな。秋にね、おばあちゃんの住んでいる地区のお祭りがあるから。まーくんと一緒に行けたらいいなって。」
「へぇ〜、お祭り？オレも一緒にいいの？」
「あっ。まーくんの出来る範囲でいいからね？都会ほど人はたくさんいないし、まーくんの好きな型抜きの出店もあるし。」
「行く！」
秋のお祭り！
子供の頃はよく行ってたな。
なんだか懐かしい。
「楽しみにしてるね☆」
「ありがとう///」
Aと一緒にお祭りに行ける。
しかも、金沢だから新幹線に乗るよね？
小旅行みたいで嬉しい。
それに恋人っぽいじゃん。
と一人で盛り上がっていると
「出来たよ。」
キッチンに立つ彼女がこちらに振り向いた。
・
「いただきます。」
二人揃ってブランチ。
オレの用意したのは飲み物とフルーツで、Aはホットサンドを作ってくれた。
「喫茶店のモーニングみたいなごはんを作りたい」っていうAの希望。
「今日はハムたまにしてみました。」
得意げにそう言う彼女は嬉しそうで、オレまで嬉しくなる。
サンドイッチの断面には、確かにハムとたまごが見えている。
「美味しそう。」
一口食べてみる。
その間、Aはじっとオレを見ていた。
「ん、美味しい！」
「良かった〜。」
彼女がほっとした表情になる。
真面目に作ってくれたんだから、美味しいに決まってる。
「まーくんも、手伝ってくれてありがとう。」
「いえいえ、こちらこそ。」
ふふっと二人で笑い合う。
こういう時間がずっと続くといいなぁ。
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作者名：おちょう | 作成日時：2017年10月10日 22時
