１９．伝えたい想い。〜貴女〜 ページ19
「まーくんっ」
急いで靴を履き、玄関の扉を押して彼を追いかけた。
「玄関先までだけど、送る。」
「嬉しいけど、まだ夜は冷えるでしょ。
ここでいいよ。」
私を気遣う言葉に、また彼の優しさを感じる。
「今日、まーくんに会えて良かった。」
「うん。」
「最初は、ただ驚いたけれど…」
だって風邪だし…。
と、ネガティブな気持ちになっていた私を、一気に元気にしてくれた。
「世話の焼ける子だからね☆」
冷えピタの取れたおでこを軽くぽんっと撫でられる。
「でも、そこが良いところ。」
そのままよしよしされて、私の胸がきゅんとなった。
「両親にも会ってくれて、本当にありがとう。」
「うん。オレも会えて良かった。」
あ…
まーくんがきゅっと目を細めて笑って、目が離せなくなる。
まーくん。
私、安心したんだよ。
『私の家に行かなきゃ』って前から思ってくれていて、親にも会ってくれるなんて思っていなかった。
「そんな顔されると、家に連れて帰りたくなっちゃう。」
頭を撫でている手が後ろに回って、そっと抱き寄せられる。
「好き」
気持ちを抑えられず、そのままぎゅっと抱きついた。
「オレも好き」
抱きしめられて、温かい気持ちが溢れてくるのが分かる。
ちょっとでも、この気持ちが彼に伝わっているといいな。
しばらくの後、ゆっくり身体を離した。
「また連絡するね。」
「次に会う時までに、風邪を治す。」
「そうだよ。」
ふっと笑った彼がまた近づいてきて、私のおでこにちゅっとキスをした。
「おやすみ」
最後に甘い気持ちになったまま、彼を見送る。
思えば、玄関の前で抱き合っていたんだ…///
私、まーくんといると周りが見えなくなりがち。
キスされたおでこに少しだけ指で触れた後、玄関の扉を開けた。
・
「ただいま」
一緒に玄関まで見送った両親は、もう部屋に入っている。
「おかえり」
「ちゃんとお見送りしてきた？」
「してきたよ///」
「良かった。最初はびっくりしたけど(笑)」
「ありがとう。お父さんも、ありがとう。」
二人にお礼を言う。
突然、嵐の相葉ちゃんがお家に来るなんて想像してないことだったよね。
「風邪を治すって、約束してきた。」
「そうね。熱が下がったから、今日はお風呂入る？」
「うん、そうする。」
先にお風呂の順番を譲ってもらうことにする。
上がったら、早めに寝よう。
週末のお休みで、絶対に風邪を治すんだ。
彼との約束を思い返し、着替えを取りに部屋へ向かった。
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あずきいろ
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西 - この方角に福があるはずです
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作者名：おちょう | 作成日時：2017年10月10日 22時
